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真相と安心


「君のお父さんの仕事って何だか知ってるよね?」


『え、お父さんは普通の企業の開発部で製品のデザインとかやっていて…まさか実はマフィアでしたとか言いませんよね?』


「お前の親父は一般人だ。これを見ろ」


沢田さんに代わってリボーン君がそう言い、私に銃を突き出してきた。
恐る恐るその銃をのぞきこむ。銃には細かく綺麗な模様が所々彫られている。


『綺麗な模様ですね』


「これはお前の親父のデザインだ」


『へー…はぁっ!?』


お父さんが銃のデザイン!?何やってんの!?


「名字さんのデザインはマフィア界で結構人気なんだ」


『いや人気って!お父さんが勤めてる会社はごく普通の企業のはずなんですけど!?』


「実はその企業の株、うちが持っててさ。マフィアってことは伏せてるけど、モデルガンとして頼んだら快く引き受けてくれたんだ」


「銃だけじゃねーぞ。リングのデザインや獄寺のダイナマイトも、祭りの出店用の品として依頼したらかっこよく作ってくれたぞ」


「完成品のサンプルはおもちゃだったがなかなかイカしたデザインでな。世話になってるダイナマイト店で同じデザインで大量生産してもらってんだ」


お父さーんっ!!騙されてるよ。この人達実用化してるよ!!

ほらよ、と獄寺さんが私に差し出したダイナマイトを恐る恐る受けとる。
爆発したら死ぬ!!あ、でも荊のデザインとか凝っててカッコいいな。さすがお父さん!


話によれば、どうやら私と沢田さん達は全くの赤の他人というわけではないらしい。…ということは、お母さんと沢田さんのあの出会いはなんだったのだろうか。確信犯なのか…?


「君のお母さんと俺が会ったのは本当に偶然だよ。話を聞くうちに名字さんの奥さんだって知ったんだ」


『え…』


聞いてもいないのに答えてくれた沢田さんに驚いたような顔を向けると、顔に出てたよ、と言われた。マジかよ!


「名字さんがアメリカに赴任することになったのは、俺たちも関係してるし、いつもお世話になってるから、名前ちゃんの面倒みるの引き受けたんだ」


『面倒みるって…子供扱い』


「まだまだ子供だよ」


ふて腐れて再び俯く。一気に多くの情報が入ってきたから処理に時間がかかる。
まず、沢田さん達はマフィアで、お父さんのお得意先?で、お父さんの赴任には少なからずこの組織が関わっていて、誰かに言われたとかじゃなく彼らの意志で私をここにおいてくれるらしくて…。


「…俺たちの事、こわい?名前ちゃんがどうしても嫌ならば、ここに居ることを強要しない。でも、そばにいるのが俺達でも良かったら、顔上げて自己紹介してくれるかな?」


本当は、寂しかったのかもしれない。心のどこかで、沢田さんが迎えに来てくれたのを喜んでたのかもしれない。そして、拒絶されるのが怖かったのかもしれない。


『…私、沢田さん達の邪魔じゃない?迷惑じゃない?』


「勿論」


そろそろと顔を上げれば、部屋にいる全員がこっちを見ていた。
その目に敵意を感じることはなく、今度こそ安心して、涙腺が緩んだ。
慌てて目元を擦り涙を拭うと、再び沢田さん達と向かい合った。


『名字名前です!しばらくの間、よろしくお願いします!』



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