世にも奇妙な物語 side 沖田の場合 ボクには好きな人がいる。その人は、とてもお人好しでそれでいて正義感も人一倍強い。なにより、誰隔てなく優しいのだ。 自分で言うのは可笑しいかもしれないけど、ボクは男であるにもかかわらず男にモテる。男子校という環境のせいもあるのだろう、でも群を抜いてボクは可愛い。というのだ。この学園には初等部の時からいるが、今まででボクは学園の可愛いランクでは五本指から外れた事はない。そんなボクは周りからは蝶よ花よと可愛がられてはちやほやされ、というのが当たり前!ボクの言うことを聞かないなんて許せない!!だからこれはボクのワガママなんかじゃなくて当然の事なんだ。 今から2年と少し前。高校1年の時にそれは起こった。ボク達のいる学園はAからFまでの成績や部活の特待クラスに分けられている。一番頭や学園に多額の寄附金をする生徒は特別クラスのSクラスに属すのだ。そんなボクは勿論Sクラス。高校に上がっても見慣れた顔に少しうんざりとして、自分の席につこうとしたら声をかけられた 「沖田ってお前?」 騒がしい教室なのに、しっかりとボクの耳に届いた彼の凛とした声。机に向けていた顔を声のした方へ向けてみれば見覚えのない顔。今までボクに声をかけてきた人でも、多少名前の知れ渡っている人達だっただけに頭にクエスチョンマークを飛ばした。 「ああ、オレ外部入学でさ知り合いいないんだ。そこの席って沖田ってんだろ?お前であってるか?」 真面目な顔で彼はボクに問いかけてきた。納得した。彼はここの学園の掟である、暗黙のルールをしらないよだ。だから平気でボクに話しかけてきたんだ。なんとなく頭のなかが冷めてきて、向けていた視線を外して席に着いた。 この学園のルール。それはボクや、また人気のある生徒には親衛隊なんぞが作られる。その親衛隊に所属しなければ話すのも、ましてや触れるのもダメなのだ。だから、ボクを甘やかす連中はその親衛隊の幹部で名の知れた人達ばっかりってこと 「問いかけてるんだ。答えてくれないのか?」 黙って座ったままのボクに尚も話しかけてくる。少しイラってきたから思いきり睨んでやった。 「聞こえてるなら返事くらいしろよ」 「うっさいなぁ。いい加減黙ったら?てゆーかボクに気安く話しかけないでくれる?」 しつこく話しかける彼に冷めた目つきで、睨みつけてやれば何を思ったのか分からない表情だった。 「分かってないみたいだから教えてあげる。ボクはキミみたいな平凡に興味ないから話しかけないで!」 騒がしかった筈の教室がいつの間にか静かになっていた。でもそんなの知らないよ。だって、彼もどうせボクの見た目だけで話しかけてきてるんだ。 「お前は、友達になるのに条件なんてつけるんだな」 「は?」 言ってる意味がよくわからなかった。友達?何言ってんの?この学園に馴れ合いを求めるつもりなんて一切ない。家や金、社会での上下関係が存在するここに、友達なんていらないだろう? 「そんな冷めた目でオレ見るが、お前はオレをどう思ったか知らないし興味なんてない。だけど、オレは単純にお前と友達になりたいんだ」 いきなり、腕を伸ばしてきた彼。一瞬何か分からなくてびくりと肩を揺らしたんだけど 「ここで同じクラスで隣の席になれたのも何かの縁だ。仲良くしよう!」 ふわり。と作った笑顔じゃなくて優しい笑顔。この学園で見ることの出来ない人のいい笑顔を、彼は惜しむことなくボクに向けてくれた。 「ボクと、仲良くなりたいの?」 「そうだな。できることなら」 うーん。と腕を組んで、彼はまたボクをマジマジと見出した。その視線はいつも感じる気持ち悪い視線ではないのが分かった。 「友達になったら、何か得になるの?」 「得かは分かんねーが、まあ損する気持ちは持たせないつもりだ」 また、彼はボクに優しい笑顔を向けてくれた。 それから、ボク達は彼の言う友達になった。一緒に勉強したり。寮まで帰ったり、ご飯も一緒に食べた。今までちやほやされて甘えていた分、彼は悪い事は悪い!と叱ってくれたりした。そんな彼をボクは友達なんかに見れるワケなくて、 「謙弥ぁ、」 学年が変わり、今ではクラスが違いますますライバルが増えてるけどボクだって負けない!謙弥がボクの気持ちに気づいてくれるまで甘えたりするんだから!! ――――あとがき。 まさかの沖田くんでした(*´ω`*) 一度は書いてみたかった沖田編ですが。よく考えてみたら殆ど主人公独白。こんなのBLなんかじゃない!!(泣) でもBLです。BLったらBLなんです← ここまで付き合いくださってありがとうございましたww 前 [戻る] |