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豪風お祝い小説(藤さまより)
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Your and my annivesary



『新着メールは0件です』

パタン、と携帯を閉め、ソファの上へと放り投げる。自分も濡れた長い髪をタオルで拭きながら腰を下ろした。
ふとサイドテーブルに置いてあるテレビのリモコンが目に入る。それを手に取って電源のボタンを押した。ピッ、ピッ、と適当にチャンネルを変えるが、どれも大して面白くない。すぐに電源を切って元の場所に戻した。途端にリビングが静寂に包まれる。微かに時計が刻む音だけが耳に入ってきた。

「……静かだなー……」

ポツリと呟くように言うが、返事はない。当たり前か。だってこの家に居るのは俺だけなんだし……

一ヶ月前、豪炎寺は仕事の為にドイツへと行ってしまった。今まで2人で過ごしてきた空間を一ヶ月間1人で過ごしているが、未だに慣れない。夕飯を2人分作ってしまうのもしばしば。いつも物足りなく感じていた。
でも、アイツは毎日メールをくれた。おはようやおやすみと言った挨拶程度だったが、嬉しかった。メールだけが毎日の楽しみになっていた。

それなのに。
ここ一週間、豪炎寺からメールが来ない。心配に思って俺から送ったのだが返事がない。電話もしてみた。が、受話器から聞こえてくるのは留守電の音声だけ。不安が募る一方だった。

「……何で、連絡くれないんだよ……っ」

側にあったクッションを強く抱き締めた。

仕事が忙しいのは知っている。理由は多分それ。でも、心の何処かで疑っている自分が居た。
俺に内緒で女に会ってるんじゃないかとか、他の男と遊んでるじゃないかとか。疑いたくないのに疑ってしまう。

「最悪だ……」

自分で自分が嫌になってくる。目の奥がツンとして目の前が段々ぼやけてきた。俺は抱き抱えるそれにへ顔を埋めた。すると、ピンポーンと玄関の呼鈴が鳴るのが聞こえた。

「こんな時間に誰だ……?」

顔を上げて不思議に思いながらも玄関へと向かう。一応目元をパジャマの袖で拭ってからドアを開けた。

「どちら様で……」
「風丸」

聞き慣れた声で名を呼ばれ、その顔を見た。それは、豪炎寺だった。突然のことで言葉が出てこない。震える口を何とか開いた。

「ご……えんじ……?」
「良かった、間に合った」

息を切らして汗を拭いながら安堵する豪炎寺にムッと眉間に皺を寄せた。

「何が"良かった"、だよ。連絡寄越さないで……どんだけ心配させたと思ってんだ……っ」
「すまない。仕事が忙しくてな」
「忙しくても、メール一つぐらいは送れるだろ……っ!」

今まで我慢していた不安や寂しさが溢れ出してくる。それは言葉となり、豪炎寺を責めるものとなってしまっていった。本当はこんなこと言いたくないのに……!

「寂しい思いさせたな。すまなかった」
「別に寂しくなんか……!」
「どうしても今日、これを渡しに帰って来たかった」

そう言って綺麗にラッピングされている小さな箱を差し出してきた。それを受け取って豪炎寺を見ると、小さく頷いた。俺は青いリボンを解いていく。

「え……?」

箱を開けた時、俺は目を疑った。其処にはシルバーの指輪が輝きながら納められていた。

「何で、指輪……?」
「覚えてないのか?今日が何の日か」
「今日?特に何も無かっ……」

豪炎寺の言葉にハッとする。豪炎寺はそんな俺を見て笑みを浮かべていた。

「まさか、今日って……」
「ああ、俺達の結婚記念日」

俺と豪炎寺は昨年の10月2日、結婚した。あれから一年経った今日、俺達の最初の結婚記念日だった。

「わざわざ、この為に帰って来たのか……?」
「当たり前だろ?風丸、いや、一郎太は……」

箱から指輪を取り出して俺の薬指へと嵌め、俺を見つめながら言った。

「俺の一番大切な人だからな」
「豪炎寺……っ!」

その瞬間、俺は豪炎寺に抱き着いた。堪えていた涙が瞳から流れ落ちていく。腰に豪炎寺の手が回され、ギュッと抱き締められる。そして俺達は暫くそのまま互いの体温を感じ合った。

薬指に嵌められた2つの指輪は月に照らされていた。


end



*****
ついでにこっちも強奪!
豪風最高ですヽ(^o^)丿
しかも結婚パロとか禿萌える^q^



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あきゅろす。
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