まぁるいしかく 4 そしてまた、頭が白くなる程の絶頂を迎えた。 おはよー、と廊下から教室から声がする。 月から金と毎日毎日聞く、賑やかな声。 「うはよ、磯木」 「おー、高山」 後から教室に入ってきた轍に、縣が声をかけ、轍がそれに応える。 昨日の事など、何も知りません、とばかりな顔をして、お互いテレビ番組等の話しをし始めた。 「おー、磯木に高山ぁ。課題やったか?」 「俺様がやる訳ねえだろ。江原は?」 「やってねぇ」 「俺はやったよ」 クラスメイトが話しかけて轍がそれに返す。 二人して、ははは、やっぱりな、と笑っている横で、縣が呟いた。 「えっ、いつ?!」 「お前が帰った後。んーっとね、海外のドラマ観ながら」 「まじかよーっ!俺ヤる事しか頭なかったぜ」 あぁぁぁー!!と叫んで頭を抱える轍の言葉に、江原と呼ばれた少年が反応した。 「なん、お前?ヤッたのか?」 「……秘密」 「秘密て…おとめか……あっ!キスマークっ!ったく、羨ましいぜ…」 「ははは、羨め羨め」 「つか、あれ?彼女と別れたって言わなかった?」 「……ははは、秘密だ」 ずりぃ〜ぞお前ばっかぁー!!と言う江原の声に、何だ何だと近くの席の男子が集まって来た。 「何なに〜?ピンク色な話?」 「磯木ばっかモテてやんの」 「えっ、こんあいだ別れたって言ったばっかで?」 「うふふー、ごめんね。僕ばっか」 ちくしょー、アホなくせにー!と江原が轍の両肩に手をついてしな垂れかかり、泣きまねをした。 「はいはい、元気だねぇ。ほら江原、ノート写さしてやるから」 「えっ、まじ?!さんきゅー!」 轍の両肩に置いていた江原の手をどかしながら、縣はノートを江原に見せた。 その瞬間、がばりと轍から離れ、ノートを受け取り席に着き、他にも課題をし忘れたクラスメイトと共に、熱心に写していた。 「あ、高山、後で俺にも見せろな」 「はいはい」 轍の後ろから両手をだらりと垂らし、肩に顎を乗せて、そしてそれを振り払う事も無く、そのまま残った男子と雑談をまた始めた。 「お、おはよー山本」 後ろの入り口から入って来た生徒を見つけ、雑談の途中でクラスメイトが声をかけた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |