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保健室の先生
2
「とっくに入学式始まってんぞ。んなとこで何やってんだぁ?」



桜の木の前で、キョロキョロしてる少女。

そんな少女に高杉は話掛けた。


『あ…』


振り向いた少女は小柄で、大きな瞳をしていた。


「おい……っ」


『ぅ…っ』


凝視され、何も言わない少女に苛立ちながら、何か言えよと言わんばかりに話かけると、少女は大きな瞳から涙を流した。

それに驚いていると


『ぅぅ…うわ〜ん!!』
ガシッ!!


「!?」


急に大泣きしながら、突進する勢いで胸倉を掴んできた。


『迷ったんですー!ここどこですかー!入学式の会場どこですかー!?』


ワンワンと少女は高杉の胸倉を掴んだまま大泣きした。

そんな少女は、高杉の腹の位置の高さぐらいの身長。

幼い容姿



「…オメェ初等部か中等部か?」


グサッ!


入学生を見逃したとあったら、色々と面倒くさいと思い、高杉は進行方向を指差した。


「会場は、ここを真直ぐに行って、突き当たりを右に…」


さっきまでオイオイ泣いていたの、急に黙ってる少女に説明した。


「分ったか?」


そんな様子に、少し難しかったか?と思いつつ、少女の頭にポンと手を乗せた。


『…もん…!』


「?」


少女は胸倉掴んでた手をドンと勢いよく押して離れた。


『初等部でも、中等部でもないもん!』


「…」


『高等部です!高校生なんです!大人です!』


ネクタイの色が違うんだと、見せる様に仁王立ちをして見せた少女。

その姿を改めて頭から足先まで見直し


「…俺から見りゃー高校生も立派なガキだよ」


『ガキじゃないですー!!』


そんな少女を高杉はフンと鼻で笑いながら、掴まれてた襟袖を直した。


『あー!!』


「ンだよ…」


『こんなことしてる場合じゃなかった!!』


少女は、腕時計を見直して慌てて鞄を手に取った。


『右に曲がるんですよね!?』


少女はその場を駆け始めた。

高杉の横を通り過ぎようとした時に、足は駆け足のまま相手に向き直った。

『入学式を見に来たんでしょ?子供さんの?
早く見に行ってあげて!お父さん!!



グサッ!グサッ!


「お、おい!!」


見えない何かに刺された高杉は、少女に何か言おうとしたが、少女は道を教えてくれた男に大きく頭を下げて『ありがとう』と言い、走り去ってしまった。


「…」


己の話聞かず、走り去る少女に眉をひそめて、鞄から白衣取り出せば、ゆったりとした仕草で羽織り


「誰がお父さんだっての…チッ…胸糞悪ィ勘違いしやがって…」


不機嫌そうに仏頂面になりながらブツブツと文句言い、とりあえず体育館へ歩き始めた。

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あきゅろす。
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