保健室の先生
1
サワサワと桜が舞う季節
「ちっ…面倒クセェ…」
春の暖かな日差しの下、桜の花弁が視界へ広がり、男はその光景に珍しく眼差し細めた。
入学式はもう始まっているにも関わらず、ゆったりとした歩調で歩きながら面倒くさそうに体育館へと向かった。
ふと、入学式が始まっているのに、桜の下で迷っている様子の制服を着た少女に気づいた。
「おい、そこのお前ェ。もう入学式始まってんぜェ?」
男は、その少女に声を掛けた。
『え?』
後ろ向きに立っていた少女は、後ろから掛けられた声に気づいた様で、ピクっと反応をした。
「ンな所で何やってんだァ?」
ゆっくりと少女は、声がする方向へ顔を向けた。
『あ…』
「ぁあ?」
ソレが二人の出会い。
楽しい高校生活の始まりだった。
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