銀色世界で二人三脚
宇宙海賊と・・・4
「新八〜〜!もうめんどくさいから、これで誤魔化すことにしたヨ」
「どいつもこいつも仕事をなんだと思ってんだチクショー」
「‥‥‥‥。」
(どーしよ)
新八君と神楽ちゃんのやり取りに参加せず、自分は天井を見上げ明さんに教えられた今回の騒動を思い返す。
今回は本当にヤバい。
天駆ける海賊!『宇宙海賊と戦う』んだぞ?!麻薬とか爆発とか危険すぎる!何で仕事でもないのに怖いことしなきゃいけないのかな?!
あわよくば逃走、もといバックレたい。
(と言っても、考える時間がないんだよ!もう巻き込まれる寸前だからこそ、これ以上はノーサンキューだっ!!)
高ぶる緊張にゴキュリ、と喉が鳴る。
ドサ‥‥
「ハム男ォォォォ!!」
「オイぃぃ駄キャラが無駄にシーン使うんじゃねーよ!!」
「っ!」
(今だァァァ!!)
バッ、スタタタ!
緊張と恐怖と焦りから、ハム男が倒れた今がバックレるタイミングだととっさに判断。
ハム男に意識が向いている間に、自分は路地にでも身を潜めてしまおうと物音たてず席を立ち早足で出口を目指す。
「進後さァァァん!!」
がばちょっ!!
「っお?!‥‥し、しんぱちくん」
背後から腰にタックルしてきた存在を確かめれば、ハム男と一緒に居るはずの新八君。あるはず無い光景を見て血の気が引いた。
「なななな何でココに居るのデスカ」
「進後さんに逃げられないように捕まえてるんです」
ギクッ!
「逃げるだなんてそんな事するわけ無いジャナイデスカ」
「お爺さん、病院、初恋、簪」
ギクギクギクッ!!
「あ、あの時は、仕事が入ってたから、自分も仕方なく帰っただけで、逃げてマセンヨ?」
どうやら新八君は、以前あった病院での一件を根に持っているらしい。逃げようとしてたのは合ってるけどね!?なにも、この日に思い出さなくても良いと思うんだ!!
「じゃあ今日は仕事がないから、このまま居なくなったりしませんよね?この中に僕と神楽ちゃんを残して行きませんよね?」
丸い目に下から真っ直ぐ見つめられて、ダメージを限界まで受けた『バックレる』決意が音を立てて崩れ落ちてゆく。
ああ自分はこんな微笑ましい彼を引き剥がしてバックレるなんて無理に決まってるんだ!
「当たり前ダヨしんぱちくん」
顔で笑って心でドナドナ。
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