銀色世界で二人三脚
かんざしと事務長っ!
「愛だァ?夢だァ?」
「若い時分に必要なのは、そんな甘っちょろいもんじゃねーよ」
「そう・・・カルシウムだ。カルシウムさえとっときゃ、全てうまくいくんだよ」
「受験戦争。親との確執。気になるあの娘。とりあえずカルシウムとっときゃ全てうまく・・・」
「いくわけねーだろ!!」
今まで語っていたのは、いちご牛乳片手に持った銀時兄さん。ツッコミは勿論新八君だ。
「幾らカルシウムとったってなァ、車にはねられりゃ骨も折れるわ!!」
ただし、新八君は骨折して病院のベットに居た。
昨日お妙ちゃんから『新ちゃんが入院してしまいまして。良ければ様子を見てあげて下さい』と連絡が来た。
自分は今朝から上司に頭を下げ、なんとか午前中だけ時間をとり新八君のお見舞いに来たのだけど・・・・。
理由が『定春に追いかけられて車道に出たらひかれた』ってどーゆうことだ。
『定春って誰?』と思ったが、頭に浮かんだのは前世の記憶。万事屋のペットになるデカイ犬の情報だった。
(ああ。原作通りなんですね。明さん)
少しだけ鼓動が弾んだ。
「俺もはねられたけどピンピンしてんじゃねーか。毎日コイツ飲んでるおかげだよ」
「いちご牛乳しか飲めないくせにエラそーなんだよ!」
「んだとコラァァ、コーヒー牛乳も飲めるぞ!!」
「ちょっとお二人ともs」
「やかましーわ!!」
(ああホラ。看護婦さんに怒られた。っつか自分の台詞に被ったじゃないですか・・・)
看護婦さんに、他の患者の迷惑だと怒られる。生死を彷徨う患者さんも居ることから、銀時兄さんも素直に謝った。
因みに、神楽ちゃんは自分の横でお見舞いの果物からバナナを食べてます。
神楽ちゃんは静かにしてて偉いね。皮はこのビニール袋にいれていいですからね。
「あのお爺さん、もう長くはないらしいですよ。僕が来てからずっとあの調子なんです」
「そのわにりは家族が誰も来てねーな」
銀時兄さんと新八君が話すのを、自分もバナナ食べながら聞いていた。(いや朝すぐに上司に頭下げに行ったから食べれなかったんだ)
・・ドクン、ドクン
鼓動が強くなるから、確信を持つ。
これは原作にあった話。でも、とくに戦闘は無さそうだから大人しくしてれば済みそうだ。
「まっ人間死ぬ時ゃ独りさ。そろそろ行くわ。万事屋の仕事もあることだし」
ガシャァァ!!
「万事屋ァァァァァ!!」
「ぎゃああああ!!」
今まで「こーほー」と弱弱しく寝ていたお爺さんが、医療器具をぶっ飛ばし「万事屋」の名前を叫びながら起き上がってきた?!いきなりで医者も叫んでいる。
そのままお爺さんはヨロヨロとこっちに歩いてくる。その光景が軽くホラーで怖い。銀時兄さん達も逃げ腰だ。
「今・・・万事屋って・・・言ったな・・・・。それ何?・・なんでも・・・・して・・くれんの?」
「いや・・・なんでもって言っても死者の蘇生は無理よ!!ちょっ・・・こっち来んな!!のわァァァ!!」
ユラユラしっかりしない足取りで近づいてきたお爺さんが伸ばしてきた手には、
しゃらん・・
一つのかんざし。
「コ・・・コレ。コイツの持ち主探してくれんか?」
「「「・・・・・。」」」
その一連の流れを見ていた自分は、食べ終わったバナナの皮をビニール袋に入れた。
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