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銀色世界で二人三脚
局長の敵と事務長と副長っ!
『局長の敵と事務長っ! 上』の土方視点。




近藤さんの敵をとる気でいる隊士達に『手は出すな』と威圧して、見回りに出るべく廊下を歩く。


「お。事務長がこっち見てますぜ」

「なに?」


一緒に歩いていた総悟の指差す先には、池田屋の一件から少し距離を置いていた畑山進後の姿があった。

『副長に巻き込まれて、事務長は怪我が絶えない』と隊士達に言われたことから距離を置いて数日。
その成果か、近頃の畑山に外傷はない。


「何か用があるんじゃねーですかい?」

「何かだァ?」

「さあてねェ。仕事か‥‥仲直りとか」
「総悟はここで待ってろ」


足早に畑山の方へと歩き出す。

背後から『ケッ、ホモ方が』とか聞こえたが、違うからな。仕事で用があるなら、早めにやっておきたいだけだから。


「おい、畑山?」


ぼんやりしている畑山に離れた距離で声をかけた。


「総悟から呼んでたって聞いたが」


勝手に総悟が言ったことにして、畑山の反応をうかがう。
どう返したらいいのかわからないのか、焦りながら口をモゴモゴさせている。
ちょっと、カワイイ。


「銀髪の侍を、斬りますか?」


畑山が静かに問いかけてくる声を、俺は聞き逃さないように聴いた。

(だいたい畑山は、普段料理ができて気遣いができる女的な部分が多いのに、戦闘となると攻撃的でギャップがあるんだよな)

ちょっと、思考は明後日に飛んでいたが‥‥。
いや、アレだ。こんなに近づいて話すのは久しぶりで緊張してんだよ!悪かったな!


「‥‥ああ。これ以上放っておくとデカいことになる」


それでも、せっかくの話す機会を終わらせないために言葉は紡ぐ。

(銀髪の侍がどうしたんだ?コイツは敵討ちしようとは考えてないようだがなぁ)

言葉を待っていると、俺より少し背の低い畑山が顔を俯けつつ目線を俺に向ける‥‥。おいおいっコレ上目づかいじゃねーの?!



「自分、も」

「あン?」



(なんだなんだ?!何を言おうとしてるんだ?)

というか、上目づかいが一瞬だったからよく分からなかった。もう一度じっくりやってくれねーかな。

いま、畑山は『自分も・・』と何かを言い掛けた。
経験上、これは『自分も連れて行って下さい』と言おうとしたんじゃないだろうか?


(そんなに‥‥そんなに戦闘する俺の側に居たいっていうのかっ!!)



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