銀色世界で二人三脚
戦闘と事務長っ!
自分こと[畑山進後]
実戦よりも日々の事務で活躍しております。
実戦では『役立たず』だと自覚、自負しております。
周囲も知っているはずです。
承知しているからこその『事務長』だと思います。
その
はず
なのに。
現在自分の目の前に広がるのは、突入準備万端な真選組のみなさん。
横には、いつもより殺気をピリピリさせる鬼の副長。
自分の腰には、屯所にいるときは仕事で邪魔なので外しているはずの刀。
いつも外してほったらかしにしているので、今考えると(可哀想かな?)と思う。でも書類整理の邪魔なんだよ。
「ごめんね」
そっと刀を撫でてあげてみたり。
(ふははっ自分の世界に入りきってる自分キモいwwww)
「おい畑山・・・大丈夫か。そろそろ突入だぞ」
横で突入する倉庫を見ていた副長が、自分に向き直って話しかけてきた。「ハイ」と返事を返す。
(いまの「大丈夫か」は自分の頭の事を言ってるんだろうな・・・さっき顔笑ってたのかも)
そうだ。今更だが、自分は突入するメンバーに入れられて、ココに居る。
自分が真選組としての、初実戦だ。
「今まで刀を使ったことはあるのか?」と聞かれたならば、間違いなく「使いました」といえる。
なぜか?
自分がガキんちょだったころは、戦争してたからさ。そん時に家族とも別れてしまった。
…それよりも、今はこの現状だよ。
(くっそー沖田隊長め・・・無理矢理引っ張ってきやがったよコンチクショー)
自分は、本来なら突入に参加する予定じゃなかった。
沖田隊長が「逝きますぜぇ事務長」と言って自分を気絶させて運んできたのだ。
本当にあの人はS王子だ。
(副長も「足手まといだから帰れ」って言ってくれないし!絶対にこういうのに厳しい副長なら言うと思って、言ってくれると思って、わざわざ怖い思いして側にいたのにさ!)
副長は「帰れ」と言うどころか、沖田隊長と少し会話した後に
「わかった。畑山。お前も今回は参加しろ」って
のたまったのであった、マル
(なに乗り気なんだよー!!遠足行くノリか?それとも秘密基地に新入り連れて行くノリか?鬼の副長は実戦楽しみなのかっ!?ドレでもいいから、帰してくれよっ!!)
そんな文句も口で言えない小心者の自分。退はあんなに文句たれてるのにな。よく言えるよ、彼は。そしてよく殴られてるよ、彼は・・・。
はぁ。
「みんな集まれ。時間だ」
(肩こったな〜)と回したりしてたら、時間になったらしい。
正面から入るメンバーが副長のそばに集まる。
「お前ら、誰も逃すなよ」
これから、生きるか死ぬか。
殺し合いだ。
自分の中の[伊達明]が「やめて!」と嘆く。明さんは、昔から人殺しは嫌っている。自分が危ない目に会うことも。
でも、この時代で立ち止まっていることは、できないから。
自分が生き抜くために。
「事務長、気を抜くなよ」
「危なかったら言えよ?」
初めての実戦だからと近くにいた隊員が声をかけてくれた。
「俺は、大丈夫ですよ」
いま走るのに邪魔なら、一時だけでも[伊達明]を押し込み、俺は[畑山進後]として走ろう。
人を殺そうが、俺として。
「神妙にしろぉ!真選組だぁっ!!」
みんなに続いて、俺は走り出す。
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