銀色世界で二人三脚
可愛らしい訴えと・・・
軽い脳震とうを起こしたものの、夕飯も問題無く食べれて、今では寝る時間帯になっていた。
prrrr……
「!?」
幼馴染の八ヱ門に状況説明のメールを送った所で、知らない番号から電話がきた。
不安はあったが、でてしまう。
「…あの、もしもし?」
〔畑山、か?〕
この低い声ー…、副長?!自分、電話番号教えてないはずなのに!
「は、はい。自分です、副長」
〔山崎に番号教えてもらってな。今日は巻き込んで悪かった〕
さがるーっ!!
覚えとけよ!!不幸のメールを送りつけてやるからなっ!しばらくはカレー食べれない画像を覚悟しろ!!
さっき自分の携帯に届いたから!しばらくはカレー食べないです。
「全身打撲だけですし、大丈夫ですから。……あの副長」
「なんだ」
「電話帳に登録するとき、『事務長』にしないで下さいね?」
最近さー…本当に、皆が自分の本名を知らないみたいなんだよ。退と副長以外は『事務長』だよ?
スッゴい不安。
「?…ああ。分かった」
「本当ですね?ちゃんと名前でいれて下さいよ?畑山進後ですからね?」
隊士に「名前で呼んでいいんですよ?」って言ったら「名前?………事務長が言いやすいし」って言われたんだ。
なに?
一瞬の空白はなに?!
あいつ、絶対忘れてたんだよ!失礼だろう!!
「お前の名前は知ってる。フルネームでいれればいいんだな?」
「はい!」
ぜひ、周りにも自分の本名を広めて下さい!
「ふっ…嬉しそうだな」
「っ!!…え、と」
(ヤバかった?もしかしてしつこかったですか?必死すぎて恥ずかしい!?)
あわあわする自分に、副長は笑った。
(……あれ?副長が優しく感じる)
いつもは怖くて仕方ないのに。
「俺の番号も登録しておけ」
「はい。なら自分も土方十四郎で登録しますよ」
自分の電話帳は数件しかありませんからね!友達少ないね!ぐすっ。
「そうしてくれ」
副長の声が優しく感じるのは、電話だからかな。
「あの。では、おやすみなさい」
「……おやすみ」
電話を切って、電源も落とす。電話帳の登録は明日しよう。さっきメールして、腕が痛くて仕方ない。
「…久々に体中痛い」
攘夷戦争では、日常茶飯事だったのに。今では『久々』かぁ。
「進後くーん。まだ起きてたのか?」
寝る支度を整えた銀時兄さんが隣にひいてある布団に腰を下ろす。
「銀時兄さん…。いやー体中が痛いなんて、戦時を思い出しますよ」
苦笑して言うと、銀時兄さんが眉間にシワをよせた。あー、誰だってこんな話したくないですよね。
「ふーん。で、思い出して得すんの?」
そりゃあ…しませんけど。
「今は、平和ですねーはははっ」
俺もよく生き残ったもんだ……。
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