銀色世界で二人三脚
可愛らしい訴えと・・・
携帯画面を見れば、相手は[坂田銀時]。
なんだか、最近にあったパターンだ。
(なんだ?また何かあったかな…)
とにかく、部屋を出る良い口実だ。
これで副長の恐怖から逃れられる!ストレス軽減で胃の粘膜も一安心だ!
「失礼」
スラッ
鳴り続ける電話を握り締めて、外に出る。だがそこにはタイミング悪く人がいた。
「しょうがない」
グッとひざを曲げて力をためた後、勢いよく飛ぶ。着地点は、屋根だ。ここなら簡単に邪魔は来ないだろう。
急いで通話ボタンをおす。
「もしもし、進後です」
なんとか電話に間に合ったみたいだが、向こうは気づいてないらしい。ガヤガヤしていた。
「もしもーし」と呼びかけて、やっと気づいてもらえた。
〔待てって!きっと忙し…。あ、進後君?〕
「はい。今なら時間ありますので、話だけ聞けますよ。出られませんが」
〔いや、今回は出なくていいから。むしろ大人しく机に向かえ。机と仲良くしろ。お前の机によろしくな〕
自分も行く気は無いです。「机によろしく」ってなんですか。
「この前のは怒られたくらいでしたが、常備帯刀する事になりました」
あとは上司と同僚のご機嫌とり。コレが一番疲れた。昼寝の枕位なら簡単で良かったけどねー。
退の仕事は良かったかもな。適度に運動になったし。
たまに運動しないと、いざって時に逃げ…安全確保出来ないからなー。
…どーせ小心者さ。
〔あーそんだけで済んだの。てか、今回の用件つか相談?なんだけどよ〕
「はあ……育児放棄は駄目ですよ」
〔なんの話し?!オメーの中で『俺が相談する=育児相談』なんて方式ができてんの?つか俺は独身者だ子供なんぞいるかァァ!!〕
そう銀時兄さんが言ったら、神楽ちゃん達が何か反論してるらしく、またガヤガヤしだした。残念ながら、銀時兄さんの大声にやられて自分には聞き取れないが。
「銀時兄さんの滑舌は今日もいい仕事してますよね。それで、何の相談で?」
〔進後君その『滑舌が』ってやつ何時まで引っ張んの?……えーと。ああ、神楽と新八が進後君に会いてーってよ〕
「なんですか。その可愛らしい訴え?!」
(自分に会いたい?可愛らしいじゃないか。撫でてあげたい!今すぐそこに駆けつけたい!)
嬉しいし、照れるしで顔が赤くなるのが分かった。子供っていいなぁ!
〔でよー。夜の付き合いに連れてけって言いやがんだよ〕
「無理ですね」
可愛らしい訴えだが、苦笑が出る。
(ちょっ!無理無理むりィィィ!!ただでさえ、『オカマバー』なのに。幼馴染がオカマで働いてるし!)
〔無理だろ〜?〕
そう言っている銀時兄さんに混じって、神楽ちゃんの抗議の声が聞こえる。
(ああ。だから電話してきたのか)
聞かない神楽ちゃんが諦めるように、電話してきたのか。
「連れて行ったとして、自分ら双方の安全(精神的)の保障がありません。むしろ、新八君と神楽ちゃんにあんなムサい所に来てほしくないです」
〔だよなー。俺らは慣れてきたけど、最初は吐き気がしたもんだしよ〕
「最初に行った時ですか。…銀時兄さん暴れてましたよね。あと吐き気どころか、吐いてましたよね」
宣言して本当に嘔吐したもんだから、暫く奥の個室から出られなかったのは、まだ記憶している。
「夜は駄目ですね」
〔ん。……じゃあよ。休みの日はどーなんだ?〕
それなら大丈夫だ。休みはいつだったかな…?
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