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銀色世界で二人三脚
泥棒猫と・・・
※新八サイド※


銀さんが脅しを使った人が来たのか、店の前にバイクの音がする。僕は挨拶しに行こうとしたが、銀さんが

「わり。俺に行かしてくんね?」

って。
いつも何考えてんだか分からない人だが大人の付き合いであるから、僕は大人しく待ってた。


なのになかなか呼びかけて来ない。
「やはり怒られてるんだ」と不安になって店の前に出たら、銀さんは男の人とよく分からない会話をしていた。


「滑舌を自慢しに電話したんですね?大丈夫です。誰しも人は輝くモノを心に持っているものですよ。…そんなに必死に特技をアピールしなくとも、銀時兄さんを銀髪天パごと愛して下さる方は居ます。この、宇宙のどこかに」

「お前が俺の何を知ってるんだっ!?俺の運命の人は地球にいねーのかよ!銀河で探さなきゃいねーの?そうなの?この天パが地球てきに駄目なのか?!」


「アンタら店先で何の話をしてんだァ!」

ツッコんで割り込めば、銀さんと話していた男の人が僕に気づく。銀さんと話していたから、脅した人というのはこの人なんだろう。


「新八喜べ!飯が届いたぞーゥゴッ」

ガッ、ズシャアアア…

僕は銀さんの頭をわし掴むと、地面になすりつけその横に土下座した。


「この馬鹿がすいませんでしたあっ!どうか、警察は勘弁して下さいぃ!!」


土下座して謝ると、頭上から優しい声がした。それで頭を上げて、僕はちゃんと男の人を見ることができた。


「青少年くん。君の方が店先で何してるんですか。そのことは大丈夫だから、荷物を運んでいこうか。ね?」


その男の人は、あまり男のゴツい印象をもたせなかった。黒眼黒髪の、僕と同じような割と平凡な感じだ。

銀さんとは違って、とても真面目で良い人に見える。

笑顔で優しく言われて大丈夫だと分かり、嬉しくて僕はこの人に自己紹介した。


「ありがとうございます!あの僕、万事屋で働いてる志村新八です!!」

「ちょとちょっと、銀さん無しで話進めてんじゃねーよ」


ぬっと立ち直った銀さんが割って入ってきた。その目は、「余計な事すんな」と言っている。


「なんですか。銀さんがこの人に脅しなんて使うから…」


僕なりに、銀さんが心配で不安だった。でも、迷惑だっただろうか…。

少し落ち込んでいると、男の人が僕に声をかけてくれた。

言ってることはよく分かんないが、気にすることはないらしい。それに僕が気になったのは、『銀時兄さん』という単語だ。


(この人は銀さんの弟?いやでも、髪の毛が銀じゃないし、天パじゃないし!)


そうして男の人を見ていると、銀さんが声を上げたので急いで駆け寄った。

そこには、何日分と言える量の食料。


「新八君、そろそろ目がポロリと落ちちゃうんじゃないですか?」
「コイツには眼鏡があるから」
「眼鏡を何だと思ってんだよ?」


男の人が僕を見て言ったことに僕らは返しながら、コソコソと会話する。


「銀さん!凄い量なんですけど!アンタはこの良い人そうな方にどんだけ脅してるんですか?!」

「バカヤロー。銀さんだってびっくりだよ!俺は一日もちそうな量しか期待してなかったのによー。いまスゲー罪悪感で俺の胸いっぱいだから…」

「ちなみに、お二人はどんな関係で?」

「昼間にゃ会ったことねぇ『ただの呑み友達』だよ。新八が言ってた毎週会うやつ。それコイツね」


えっ!?毎週の『大人の付き合い』ってこの人とだったのか!

コソコソ話した後、銀さんが片手を挙げて「ハイハーイ」と言う。


「進後くーん?この何分の何が家の分ですかー?」


銀さんが直接聞いたが、話が分からないと男の人は首を傾げる。
続けて僕が挙手した。


「まさか全部なんてこと無いですよね」


言って、挙手したまま銀さんと多すぎる荷物を横目で見る。

(いやいやいや!コレはないでしょ!!)

だって、銀さん曰わく『ただの呑み友達』なのだ。ただでさえ、昼間に脅して呼び出しているというのに、こんなに大量なモノは気が引ける!

逆に、この人の生活が大丈夫だろうか?


男の人はしばらくうつむいた後、「はあー」と溜め息をして、銀さんへ顔を向ける。
その顔は怒っているように見えた。


「全部がそうですよ。脅した相手に遠慮してどうするんです?早く運んで下さい」


そんな風に言ったが、僕には男の人は拗ねたような。若しくは照れ隠しのようにしか見えなかった。


だって、耳が赤かったんだ!


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あきゅろす。
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