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銀色世界で二人三脚
泥棒猫と… 下
※畑山サイド※


バイクでパトカーについて行くと、橋がかかる道に出た。
パトカーに合わせてスピードを緩める。


(そうか。待ち伏せ…)


ドクドクドク…

原作(この世界からすれば『未来』とも言える)と同じように進んでいく。

それが嬉しいのか、俺の中に在る〔明〕さんが跳ね回っているらしい。さっきから胸のざわつきが痛いくらいだ。

ドクドクドク…

(喜んでくれるなら、俺も嬉しいけどね。)



向かい側の路地からは、予想通りキャサリンが原チャリを走らせて出てくる。

キャサリンが路地から抜けてすぐにハンドルをきると、追いかけてきた銀時兄さん等が乗るパトカーが、曲がりきれずに川へと落ちた。

刺さるように落ちたパトカーは、煙をふいている。


「ちょっ、流石に怪我するんじゃないかなー。コレは・・・」


原作の流れを知っているとはいえ、実際に見れば驚く。

「あーーもう」

自分はバイクを止めて、荷物入れから救助用の縄を出す。橋に駆け寄り一部に縛り付ける。
元気なら、コレで引っ張り上げてあげようと思ったんだけど。


「ココに縄がありますからーっ!皆さん上がれますかーっ!?」




返事が無い。

(・・・あれ?)


ブォンッ


「っ!?」


エンジン音に、目的を思い出す。見るとキャサリンがお登勢さんと向き合うところだった。



「家族のために働いてるっていうアレ。アレもウソかい」

「・・・お登勢サン・・・アナタ馬鹿ネ。世話好キ結構。デモ度ガ過ギル。私ノヨウナ奴ニツケコマレルネ」



自分は橋の手すりに寄りかかりながら、話を聞くだけで特に何もしない。

(いい言葉だなぁ。今日の自分のようだ)

脅されてるからと言って、仕事中に出かけて5日分はありそうな食料を買っている自分。

(あぁ・・・自分こそ、ただの飲み友達に何してるんだ)

自分こそ、度が過ぎた。

アレじゃあ自分から『ただの飲み友達じゃない』と言ってるようなもんじゃないのか?
距離をおきたいのに、自分から歩み寄ってどうする。

…やはり坂田銀時、恐ろしい男だ。
そういうことにしておこう。
自分のせいじゃないはず。



「こいつは性分さね。もう直らんよ。でも、そのおかげで面白い連中とも会えたがねェ」


(面白い連中ね・・・。まぁ賑やかだとは思うけど)


「ある男はこうさ。ありゃ雪の降った寒い日だったねェ」



――・・あたしゃ気まぐれに旦那の墓参りに出かけたんだ。

お供え物置いて立ち去ろうとしたら
墓石が口ききやがったんだ。

『オーイ、ババー』


『それまんじゅうか?食べていい?腹へって死にそうなんだ』

『こりゃ私の旦那のもんだ。旦那に聞きな』

そう言ったら、間髪いれずそいつはまんじゅう食い始めた。

『なんつってた?私の旦那』


――・・・



「そう聞いたら、そいつなんて答えたと思う」


ブォンブォンッ


(お登勢さん・・・・微妙にキャサリンのやつ聞いてませんよ)


キャサリンは原チャリをふかし始めた。


「死人が口きくかって。だから一方的に約束してきたって言うんだ」


原チャリがお登勢さんに向いているが、自分は空を見る。

(巻き込まれてもなぁ。刀無いし・・・・あ、飛行機雲)


ブロロ

キャサリンが原チャリを進ませた。
そこで手すりから体を離して、お登勢さんの後ろへと足を運ぶ。


「この恩は忘れねェ」


ブオォォォ・・


「アンタのバーさん・・・老い先短い命だろうが」


ザパァッッ
タッ


音と共に、銀時兄さんが川から飛び上がってきてキャサリンの真横に。すでに木刀を構えていた。


「この先は、アンタの代わりに俺が護ってやるってさ・・」


ゴンッ


.

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あきゅろす。
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