銀色世界で二人三脚
泥棒猫と… 中
※畑山サイド※
荷物を仕舞い終わったらしい新八君に再度お礼を言われた。青少年は礼儀があって偉いねぇ。
銀髪天パのお兄さんは鼻ほじってたよ。
誰のために食料買ってきたと思ってるんだーチクショー。
「それでは帰ります」と靴を履いて階段を下りると、銀時兄さんと新八君に両腕を持たれて『スナックお登勢』に連れ込まれた。
ズルズル
(なんで?)
焦って入口でふんばる。掴んだ戸がミシミシいってるがしょうがない。
「いやいやいや帰りますっ。もう出て来てから1時間たってるんで。ヤバいんで」
「別に他のヤツらが働いてくれてるから。お前の代わりなんて、幾らでもいるから」
「嫌な言い方しないで下さいよ!自分、抜け出してきたんです。書き置きだけじゃ、そろそろヤバいんですって!」
「書き置きしてあるなら、分かるからイイじゃないですか。万事屋にはもう一人居るので紹介させて下さいよ。駄目ですか?」
悪いとは思っているのか、新八君がはにかんだ。
「う、………」
(ま、眩しい!青少年の笑顔にこんな破壊力があるなんてっ!純粋は小心者に堪えるよ新八君!!)
「コレは不利だ!」と思った時には手遅れで。銀時兄さんにしっかり気付かれて嫌な笑みを浮かべられた。
「まだちゃんと説明してないしなー。…中で聞いていくだろ?進後君」
「……はいっ喜んでぇ」
ズルズル…
「すみません…」
いいんだよ、新八君。銀時兄さんが悪いんだ。
営業中の店内に入ると、カウンターでは何かもめていた。
「そんなに飯食いてーなら、ファミレス行って『お子様ランチ』でも頼みな!!」
カウンターで年配の女性がお団子頭の少女に怒っている。
自分にある〔伊達明〕さんの知識から、お団子頭が〔神楽〕なんだろう。
自分は気になったが、腕を持った二人にそのまま一つのテーブルへと引かれていった。
あ。丁度良いタイミングだ。
「新八君。自分は畑山進後って言うんですよ。よろしくね」
「畑山さんですね。よろしくお願いします」
よし、やっと名前言えた!
「ちょっとォ!!銀時!!何だいこの娘!!」
お登勢さんらしき人がかなり怒っている。
「もう5合も飯食べてるよ!!どこの娘だい!!」
銀時兄さんへ矛先が向かったが二人は遠い目でげっそりして、自分が買ってきたオニギリとパンを食べるだけだった。
「5合か…。まだまだこれからですね」
「さっきまで家には砂糖と塩しか無ーもんな」
「そんなに極限だったんですか。そりゃあ憔悴もしますね」
「ってオイぃぃぃ!!まだ食うんかいィィ!!」
見たら、お団子頭の少女が炊飯から「むがもご」とご飯を食べていた。
「ちょっと誰か止めてエエエ!!」
「兄さん。まさかあの娘が原因なんて…」
「そのまさかだー」
天人ってみんなあんなに食べるのだろうか?
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