銀色世界で二人三脚
手作り弁当と・・・
※畑山サイド※
ご飯はうどんしか残っていなかったので、丼を持って副長たちのほうへ戻る。
そしたら皆が弁当をのぞき込んでいて、『子供みたいだなぁ』と笑ってしまった。コレたぶんバレたら怒られるな。
皆を観察すると、凄い不思議な顔をしていた。何か変なものあったかな?と思い返す。
(あ・・・・マヨネーズかかってるんだった!おかずが分かるわけないじゃん!?)
今、おかずのモヤシ炒めは一面にマヨネーズだらけ。一目見て、何なのか分かるはずがない。現にワケ分からない顔してるし。
副長だけは、ちょっと嬉しそうな顔してるけど・・・・。
(この人きっすいのマヨラーだよなぁ。普通はこの弁当は引くって・・・・)
「すみません。マヨネーズかかってて、おかずが分かりませんよね?おかずは、卵焼きとモヤシ炒めです」
皆の近くに座って、おかずの説明をする。
した後にもう一度弁当を見るが、マヨネーズでモヤシ炒めには見えない。
そして、彼らは知らない。
このマヨネーズの下は、酷い味をしたモヤシ炒めだということをっ!
彼らの事だ。『事務長は料理もできる』と期待してるに違いない。
(いやまぁ、できるけどさ?一人暮らしだしさ?でも、自分としては、やっぱり『料理に失敗した』とは言えないから!)
「事務長、なんでマヨネーズ?」
たまらず、といった感じにマヨネーズの事を聞かれた。
(やはり、そう来たか。気になりますよねー。マヨラーみたいだもんねー。マヨラーじゃないけどさ)
この時副長は食べたそうにしていたが、押さえられている。
この人に関しては、さっさと食べさせてしまって欲しい。その『酷い味のするモヤシ炒め』を成仏させてあげて!
(どうする・・まさか『味をごまかす為にマヨネーズを使ってます』なんてマヨラーの近くで言えない!そのまえに『料理に失敗した』ことを言えない!・・・とにかくっ!!)
「マヨネーズがないと(味が酷くて)食べれませんよ?」
真実を混ぜて、疑問系で返してみた。
「っつーか、え?モヤシ炒めはマヨネーズかけなくても食えるよな?」
一人がそう言って周りの隊士を見ると、皆頭を縦に振った。
上手いこと伝わらなかったらしい。イヤな予感に頭を抱えたくなった。
(これは絶対誤解されたわな。絶対マヨラーだと思われたな!違うんですよ。このモヤシ炒めは普通じゃないんですよ!でも言えないし……ああああなんでこんな事に!!)
「お前ら、かかってようが良いじゃねーか?俺は食うぞ」
「ぇ、副長まっ」
もしゃもしゃ…
副長は、目先のマヨネーズのかかった『酷い味のモヤシ炒め』を食べ始めた。・・・というか、この気まずい空気には気づかないのか副長!?
「・・・うまい」
(幸せそうに食わないで下さいよ!!現状を理解してぇぇえ!!副長からしても食べれる味でよかったぁああ!!)
いや、『もしかしたら副長には不味い味になってるかも』『殴られるんじゃね?』とか少し不安だったんだ!
いやー良かった!マヨネーズすげー!!
自分はうどんを食べながら『とりあえず、料理に失敗したことはバレないぞ〜』と確信した。
副長は白米にもマヨネーズをかけて、モヤシ炒めと交互に食べながら何か思案中らしかった。
隊士達は、各々何かを(たぶんマヨラーのことだ)納得した感じで離れていってしまった。
食べ続けていた副長が箸を止めて一言。
「なぁ、畑山もマヨネーズ好きなのか?」
「………」
(せっかく『マヨラー疑惑』の空気が澄んできたのに、いまその話題来ますか?!それに副長『も』って言った?この人『も』って言った!!)
軽くテンパりだした自分の頭。
(ど、どうする?!いやどうするじゃなくて、否定しないと『マヨラー』だと思われるんじゃないか?でも副長に面と向かって言うなんて、根性が!心の準備がぁぁ!!)
背中には冷や汗が出始めた。
しかも、とっさに出た言葉はどもった。
「・・・・・・副長は、好きなんで、すか?」
(あぁぁテンパりすぎ!・・・うどんだ。うどんを食べて落ち着くんだ!)
ズルズル…
「俺は、結構好きだぜ」
ズッ…ズソズソ
副長の低い声にビクッと肩が動いてしまった。
(うどん食べても落ち着けないんですけど!!なんかヤバい!空気がヤバい!)
「…マヨネーズって、色々と相性良かったりしますよね」
ズルズル…
逃げ道探してマヨネーズ談義なんぞを始めてみる。
(今日マヨネーズマジックで素晴らしさは分かりましたからぁ)
「ああ。マヨネーズはなんにでもあう、素晴らしい調味料だからな……で、お前はどうなんだ?」
再度の問いに顔を上げると、副長が期待のこもった目で自分を凝視していた。
(ちょっ、『凝視』はキツいんですけど?そんな風に見られたら自分は恐怖でハシも動かせないんです…)
「……ぇと」
テンパりすぎて、頭に血が集まってきた気がする。
(うどんもツユのみになっちゃったし…。逃げ道がっ逃げ道が無いなぁあっはっは!)
「……マヨネーズは、」
副長が自分を見る目を更に熱っぽくさせた。
(何なのかな?いま『マヨネーズが好きか?』って話だよね?!コレ軽く告白大会になってませんん゙ん゙?!)
「か、かけるより、つけるほうが、スキデス」
(いっ、言ってしまった。で、これ何の告白大会?!)
「っそうか!畑山も好きなんだなっ!!」
なんか自分が負けた気がして(気がしてどころか、マヨラー疑惑に勝てなかった!!)うどんのツユを飲み干す。
副長は、嬉しそうに残りのご飯をかき込んだ。
(これで、マヨラーの仲間入り……。何がいけなかったのかなぁあーはははは!)
自分は心の中で泣いた。
真選組内に、新生マヨラーが広まるのは1日と長くはなかった。自分が帰るころには、広まっていた。
そりゃ、食堂でやってたら皆さん聞き耳立てるわ!!広まるわ!!
「事務長〜ゥ?アンタァ『マヨラー』だったんですかィ。いま専らの噂でさァ」
「…マヨネーズをつけるほうが好きって言ったんですよ。沖田隊長」
「弁当箱持ってきてまでして、土方コンチクショーにアピるたァ。いや、お見逸れしやした」
「アピッ?!……弁当箱は自分の分だったんです。それを副長に、たまたま、あげることになっただけですよ。沖田隊長」
「おかげで、土方アンチキショーが『マヨネーズを毎月買う量増やす』って経理に駆け込んでやがりやした」
「……副長ー!?」
ダダダダッ
(これ以上無駄な金遣いは止めてあげて!!経理の人泣いちゃうからぁ!)
「あんなに喜んで…面白い人だ」
銀魂 第一巻
第二訓
『ペットは飼主が責任を持って最後まで面倒を見ましょう』
終わり
××後記××
と、言うわけで今回は、『原作沿い突入!?』&『マヨネーズ』な話でおおくりしましたっ!
原作沿いが前半でしかやってないですねぇ。
でも、そんなもんスよ。
『事務長』と呼ばれる彼を、無理矢理外につれだして万事屋に絡ませられなかった!
それが真実です…。一番悔しいのは作った私です。
主人公、今回は『勘違い』と戦おうとしましたが、残念でした!彼はマヨラーとして生きてゆくのです(笑)
あと、まさかの?!『殴られた隊士』視点。副長視点は…頭の中ピンクい事になってそうなので止めました。
嘘です、長いので止めました。
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