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銀色世界で二人三脚
手作り弁当と事務長と副長っ!
『手作り弁当と事務長っ!上』の土方サイドになります。





「ん、おい原田。総悟はどうした?」

「まだ来てないみたいですけど…部屋にいるんでしょうかね。事務長のとこの」

この場に居なければならない青年の居場所を聞けば、不可解な返答だった。


「はあ?なんでアイツのとこに??」


とにかく、総悟には仕事に出て貰わなければならない。迷惑なムツゴロウ星人が入国するのだ。
急に央国星のハタ皇子は入国するらしい。いきなりの入国なもんだから、江戸の平和を守る真選組は、急な仕事に朝からバタバタしている。
この場合入国管理局の仕事が多いが、相手はムツゴロウ星人。キテレツなエイリアンを持ち込んでないとは限らない。


「副長!朗報です」

「なんだ。馬鹿皇子がエイリアンしょってたか」

「進後が、今日は手作り弁当持ってきたんだそうです!」

「そうか、畑山が手作り弁当しょってたか。…ってナニィィ!?手作り弁当だと!?誰に食わすんだぁ!!」
(山崎が朗報だと言うから何かと思いきや…いや、しかし気にはなるが。少しだけな、少し)

「副長、内心と表が逆じゃないですか?」
「心を読むな。…チッ、どうせお前ら気づいてんだろ?」


畑山と初めて実戦を共にしてから、俺は馬鹿みたいに畑山を意識している。
別に、始めはそういった感情ではなかったはずだ。
ただ、意識し出したら歯止めが聞かなくなってしまい、今はヤバい感情の手前だと思っている。

焦る俺は周りには丸分かりらしく。

昨日はついに
『おれぁ副長と事務長なら応援します!』
と有り難くない後押しを数人にうけた。

とりあえず俺は一人残らず殴り潰しておいた。



「弁当は自分用だといってましたよ。作ってくれる彼女も居ないみたいです。良かったですね!」

「喜んでいいのか?男が自分用の弁当って喜んでいいのか?」

「うまくやれば、進後の手作り食べれるじゃないですか!ぁ、でも…」

駄目だ。なんか話がかみ合わねー!

山崎が何か思い出したのか、急に大人しくなる。おいペースを守れよ。ついて行けねーだろがァ!

「でも弁当作ったのも、進後今まで作ってもらったこと無いからみたいで…。またあの目してました」

「チッ……そうかよ」


戦闘中に見せた、普段温厚な畑山からは考えられない感情の無い目。

あの目を見た後日に畑山と(何故か)一番仲の良い山崎に心当たりがないか話を聞くと、山崎も見たことが有るらしい。

まだどういった理由なのか解らないが、畑山本人からは聞けそうにも無かった。


気にかかる。
あんな目をしてほしくない。
あんな目で、俺を映してほしくない。

(あーヤベー…まて俺)


煙草を深く吸い込む。


最近はこうしてギリギリのラインをいったりきたり。常識を考えて、俺は認めない。
あの日に認めたかもしれないが、それでも、だ。

(ぁ、でも認めちまおうかなぁ。めんどくさくなってきた。それに、俺らしくねぇ)


「…また畑山を引っ張る話題なんだがよ。総悟がアイツのとこにいるのか?」

「あ、すれ違ったので居ると思いますよ。よく寝に来てるみたいで…」

(ああ、アイツの近くは静かだからな…)

総悟の考えも分かるな、と少し顔を緩めるが、次の山崎の発言に頭が沸騰した。

「この前進後で腹枕してました」
「あの野郎斬ってやらァァア!!!」


(うらや、あーいや。……やっぱ羨ましいぞコラァァァ!なんで腹なんだぁぁっ!!一緒に寝たのか!?寝たのか!?)

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