銀色世界で二人三脚
銀髪と・・・
「親父さん、お酒下さい!あとおでん適当にね。自分夕飯まだだから」
「なにこの子?ねぇ失礼すぎねー?」
親父さんに先に注文をすませて、銀髪の男に向き直る。
「お兄さんスイマセン。じつは、久しぶりに一人で飲むのではしゃいでたんです」
「あーそう素直に言われるとなぁ。まぁ謝るほどでもねぇよ。誰にでもあるよな。一人で真夜中にテンション高くなって起きてるんだけど、皆寝静まってるからちょっぴり怖くてドキドキだぜ!…って。お兄さんわかっちゃうよ」
(そこまで言ってないような。てか実体験?)
「はいよ若いの、酒とおでん」
親父さんの声にニコニコと受け取り、おでんに手をつける。それを親父さんが温かい目で見ていた。
「若いの。江戸はどうだ?」
「はい!慣れてきましたよ。仕事であんまり出歩けないのがアレですけど」
はむはむとはんぺんを食べながら親父さんに返すと、ただ飲むのもつまらないのか、銀髪の男も参加してきた。
「なに、きみ江戸に来たて?」
「まだ1月ですよ。いろいろ見て回りたいけど、仕事がこの時間まで長引くので、できなくって困ります」
「そういやあ、若いのは何やってんだ?」
(あー・・まぁ言ってもいいよね?)
一瞬迷ったが、後ろめたい事は無い(はず)なので、正直に答える。
「真選組です」
「「・・え」」
なんか驚かれた。
「え??どういう意味ですかお二方?」
「イヤ別に、ただ意外性がよお…なっ銀さん?」
「そうそう、その顔でチンピラ警察だなんて思いもよらず?」
目をそらして話す二人を食べながら見る。自分はそんなに『優男』に見えるのだろうか?
(喜んでいいのか?まあ、いいか。酒が美味い)
「えー‥銀髪お兄さんは『銀さん』ってよばれてるんですか?」
「おうよ、『坂田銀時』万事屋やってんの。よろしく〜」
名刺を渡された。はたして使う日がくるか?
「自分は『畑山進後』真選組に入っていますが、下っ端ですし事務処理ばっかりです。実戦には出ませんよ〜」
「だと思った。典型的な事務顔だもんな。事務以外の何者でもない感じ」
「貴方も結構失礼じゃありませんか?」
お互いに酒をつぐ。
「実戦は嫌いです。なにより怖いし自分には余裕が無くて。…この前の実戦も気が狂うかと思いましたね」
「出ちゃってんじゃん。いま『出ません』って言ってるそばから出てるんじゃん。さっきから逆のこといってない?もう酔ってんのか?」
仕事の付き合いではない人だけど、これはこれで、気兼ねなく愚痴れて楽しいかもしれない。
「あははははは、愚痴って良いですかね?銀時兄さん」
「おーおー、お兄さんがなにパワハラの相談事だってきいてやるよ〜」
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