絡繰-カラクリ-
助けられた少女
感じたことの無いような浮遊感。
「へ……?」
抱き上げられていると分かったのは、その数秒後だった。
「よっ」
とす、と僅かに体に振動が伝わってきた。
彼が着地した振動が彼からそのまま伝わったのだ。
「大丈夫か?」
「あ………」
気付けば辺りには、もう誰もいなかった。
彼が吹っ飛ばした男も、回収されていてもういない。
助かったんだ。
逃げ切れたんだ。
そう実感した途端、何かがぷつん、と切れた。
だんだんと体から力が抜けて、意識が沈んでゆく。
あぁでも待って、この人に…
「あ…りが…とう……」
「っ?え、ちょ、おいっ!?」
そこで、私の意識は完全に途切れた。
暗闇に墜ちた世界で、彼の呼び掛ける声が何度も何度も頭に響いていた。
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