絡繰-カラクリ-
不適に笑う
――――トスッ
「………え」
その場にいた全員が、後ろを振り向く。
地面には、刀の刀身が上半分だけ突き刺さっていた。
少女は呆気に取られながらも、冷静にその刃が振ってきた理由を導きだした。
――あの人が、弾き飛ばしたんだ。刀身だけ…
「さぁて…」
使い物にならなくなった刀を振り下ろしたまま固まっている男の側で、彼はにやりと笑った。
逆光でまだ顔は見えなかったのに、なぜか笑ったと確信できた。
「怖けりゃ、しっかり目ぇ閉じてろ、小娘」
「えっ…」
そう言うやいなや。
とんっ
ドコッ
「うぐっ!!」
なんと彼は、刀の先を弾き飛ばされて放心状態になっていた男を、手の平で付いただけで真横にぶっ飛ばしたのだ。
「なっ…」
「はい、一人終わり」
ふらりと右手を振って、にやりと不適に笑う。
咄嗟に男が飛ばされた方に目をやると、反対側の壁に激突し、完璧に気を失っていた。
「な、何なんだ…お前…」
「俺か?……さぁな、俺もよく知らん」
「っ…くそ…一時引くぞっ!」
「あっ!」
腕を力任せに引っ張られ、思いっきりバランスを崩す。
倒れる…っ。そう思った。
ふわっ
「……え?」
迫っていた地面が、急に遠ざかった。
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