絡繰-カラクリ-
透き通る声
堪らなくなって、ばたばたと暴れた。
「っ!離せっ!離っ…むぐぅっ」
羽交い締めにされた状態で、別の男に口を塞がれた。
「大人しくしやがれっ!たっく、手間ぁ掛けさせやがって…」
「っむぐ…ぐぐっ…むぐぅっ」
「うっせぇんだよ!!この雌豚がっ」
ばしんっ
「……ぐっ」
じんじんと打たれた頬の熱が、憎しみに変わってゆく。
嫌だ。触るな。触るな。触るな。
「ほら、いくぞっ」
腕を思いっきり引かれ、男の方へ倒れこむ。
耳元に男の息がはきかけられた。
「帰ったら散々弄ばれた後、公開処刑だぜぇ?」
「――――っ!」
ぞわり、と身の毛がよだつ。
にたりと歪められる口元がたまらなく気持ち悪い。
腕をさらに強く引かれ、足がもつれた。
抗う力もなくし、引かれるままに進もうとした。
その時。
「―――どこに行くって?」
低い、透き通るような声に、辺りが静まり返った。
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