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絡繰-カラクリ-
真っ暗な夜道


タタタタタタッ

っ…はぁ…はぁ…はぁっ

薄暗い夜道を、一人、少女が走る。
乱れる髪も気にせずに、あてもなく、ただ走っている。

はぁ…っはぁ…っはぁ…っ

あぁ、駄目だ。息が。心臓が。

夜道は月の明かりがあるはずなのに、酷く真っ暗に見えた。

自分の気持ちが諦めに向かっているからかもしれない。
ふるふると首を振って、その考えを頭から落とす。

今はただ、逃げなくちゃ。
絶対に逃げ切ってやる。
あんなところはもううんざりだ。

「…〜〜…〜…」

「…っ!?」

ヤバい。声だ。奴らがもう近い。
あぁ、どうしよう。もういつ倒れたっておかしくないのに、声はどんどん近づいてくる。

暗い。世界がとても暗い。
視界が霞んでいるからだと何となく思った。

「…〜〜…いたぞーっ!」

「…あっ…!はぁっ…くっ…」

焦ったせいで息が乱れた。途端に呼吸がものすごく辛くなる。

「…っ!私は…っ」

もうあんな所にいたくない。もうこれ以上、あんな思いはしたくない。

捕まったら、殺される。
それは、嫌だ。
絶対、絶対、嫌だ。

でもヤバい、本当に近い。
奴らが、あぁ、もうそこまで…

ぐぃっ

「っ!」

「捕まえたぞ!」

ぞくり、と捕まれた肩から全身に向けて悪寒が走り抜けた。





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あきゅろす。
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