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流竜神話
式と式神


「俺は、断じてお前の式なんかじゃないっ!歴とした『式神』だっ」

声を荒げるそれに流雫は目をしばたかせた。

「……別に大差ないだろう、式も式神も」

「ぜんっぜん違う!!いいか、式は使役!式神は元はといえど、その正体は神の眷属たる精霊だっ!」

しーかーもっ、と目を怒らせて、自称、神の眷属は続ける。

「俺は、半人前のお前を護衛するつまり守護神だっ」

「……まぁ、確かにそうだろうが…」

そう。
確かに式神の豪語するとおり、式と式神には大きく違いがある。

どちらも主人に使役されるために存在するのは変わらないのだが、根源が違うのだ。

そもそも式とは、主人となりうるものが式の選択権を持ち、数多いる中から巡り合った妖や物の怪を合意の上で使役としたものを言う。

もしくは自らの力を無機物――たとえば紙の様なものに宿らせて、使役するものもまた式だ。


なるべく使い勝手のよい、自らの能力に合ったものを選ぶのが普通だが、単に仲良くなったからと、式にする場合もあるらしい。

それに対して式神は、「式となった神」であるから、元は何らかの神、またはそれに類した精霊などであることが多い。

式神は通常、式にくだる以前。
主人となる人物よりも立場が上であることが常なので、主人から望んで、それらを式にすることは出来ない。


式神が、主人を選ぶのだ。


だから、確かに式と式神を一緒くたにするのはやはり違うのかもしれない。

―――だが。





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あきゅろす。
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