桜界逸史
交戦スタート
Dに分けられた2班の班員達を連れ、摂陸と海神は相手の本部を目指していた。
以外と木が多く、機動性にすぐれたストームでも、中々に進みにくい。
「……止まれ」
海神が一言、低い声で周波数を合わせた無線に声をかける。
瞬時に隊列を組んだ固まりがピタリと音もなく止まった。
「……spread」
合図にあわせ、ぶわりと綺麗な扇形に隊列が広がる。
しばしの沈黙。
ざわざわと、遠くの方で木々がゆれる音が聞こえた。
―――自然の風で揺れているのでは、ない。
「…………来るぞっ!」
次の瞬間。
姿を小さく視界にとらえた瞬間だ。
ズガガガガガガッガガガッ
隊列を広げた双方の、打ち合いが始まった。
相手方もストームに乗りながら、各々違った武器を使って攻防を繰り広げている。
実力は大体、五分と五分。
ただ、相手のほうが数が多い。
「ちっ、数は向こうが上だな」
「問題ねぇ! その分倒す!」
宣言どおり、すでに摂陸は何人かをリタイアさせたようだ。
摂陸の正確な銃撃にやられ、崩れ落ちると共に、数人が消滅した。
仲間を攻撃することに、抵抗が無いのかと言われれば耳が痛い。
これはどのような曲面においても――それこそ、例え仲間が裏切ることになっても――きちんとやり合うことが出来るようにするため。
そういうふうに、訓練される。
それが、普通なのだ。
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