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桜界逸史
孤高の島国と軍隊『銀』
 

スパァァアン

弾けるような音に手ごたえを感じる。
ややあって、ゴム弾が的の中心に当たったことを知らせる機械音が鳴った。

「っしゃ、連続記録達成!」

こげ茶色の髪を揺らし、片手で射撃練習時に装着する耳あてを外しながら拳を力強く握ったのは、薄く蒼の入った瞳をもつ彼、市松摂陸(いちまつとろく)だ。

訓練場はクーラーがきいていて涼しいが、何百発ものゴム弾の反動を腕に受けて汗をかかない奴はいない。
摂陸は手元のタオルで汗をぬぐってベンチにストンと腰を下ろした。

ここは孤高の島国、桜界国。
この国はその小さな国土面積とは対照的に、他国も一目置くほどの高い軍事力を持っていた。
隊員個々の戦闘スキルが高いことに加え、発展した最高峰の技術力と独特の文化を背景に置いているからである。

彼、摂陸の所属する国家特別軍隊の『銀』は、この国自慢の軍隊の一つだった。
他にもこの国の特別軍隊には『紅』『雪』などの種類があるが、『銀』は一番新しい隊であるため基地の設備が一番ハイテクだという利点を持つ。

「おい、もっと腰入れろ!弾の入れ替えは素早く丁寧に!」

「「はいっ」」 

辺りの隊員に声をかけながら次のメニューを頭の中で反芻した。
まだまだやることは沢山ある。
摂陸自身まだ射撃練習においてやりたいことが残っていたので、立ち上がろうと腰を浮かせた。




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あきゅろす。
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