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短編


屋上につき、建斗の腕を離す。


「葉山?」


俯く俺を心配そうに名を呼びながら覗きこむ建斗。







「呼べよ…」





「え?」






「名前で呼んでくれよ!!今までみたいに幸咲って…」


呼んでくれよ…






「こうさく?」


「…っ」




ちげぇ、違うんだよ。



ただひらがなを読んでいるような呼び方に、胸が苦しくなって、


今目の前にいる建斗が俺の知る建斗じゃないみたいで、急に怖くなった。




「建斗っ…」



俺は建斗を抱きしめる。




「こうさく?」




「ごめんっ…本当ごめん…ッッ…」



「お、おい」




何度でも謝るから。



浮気なんてもう絶対にしないから。


戸惑う建斗に構わず、俺は謝り続けた。




「戻ってこいよっ…」




気づいたら俺は泣いていた。





「前みたいに幸咲って呼んでくれよ…建斗ッ…」


「えっ?」



建斗が一瞬震えた。


俺が怖いのか?




「好きだ、建斗だけを愛してるっ」



建斗に伝わるように、優しく抱きしめた。



それでも建斗は反応しなかった。



「建斗ごめんッ。もう浮気なんかしねぇから……」



葉山SIDE終

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