短編
7
「建斗」
「俺のこと知ってんのか?」
「…っ……」
黙った俺に、建斗は興味を無くしたのか、本を読み始めてしまった。
俺は焦る。
コイツとはもう他人なのか?
恋人には戻れないのか?
「ただ…」
ぽつりと御子柴が呟いた。
「君の、その…」
「なんだ?」
言いづらそうな御子柴に、先を促す。
建斗は既に自分の世界に入っていて聞こえていない。
「う、浮気を、見る度に…建斗は『あれは知らない人だ。俺には関係ない事だ』って自分に言い聞かせるように言ってたんだ…」
「っ!?」
知らない人…。
関係ない……。
それで、俺を忘れたのか?
建斗は俺を忘れたかったのか?
「ちょっと来い!!」
俺は本に集中してる建斗の腕を掴み、教室を出た。
「ちょ、は、葉山??」
「――チッ」
俺のことを葉山と呼ぶ建斗にムカついた。
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