[携帯モード] [URL送信]

お題&企画
ユーリのおめでた日課




凛々の明星の壮大な旅が幕を閉じて、二年が経過したある日のこと。
恋人であるユーリが体調の悪さを訴え始め念の為と病院に診てもらったが、予想外なことに病気の類ではなかったらしい。
寧ろ『おめでた』だと医師は笑顔で言っていた。
つまりユーリが妊娠したということだ。

突然ではあったものの、子供を授かったことに関しては素直に嬉しいと思えたし勿論恋人のユーリも喜んでいた。
幾ら年齢を重ねた自分でも子供を作ったことはないので妊娠中の彼女の変化に戸惑いはあったが、仕事の空き時間などに本を開いて妊婦や赤子の知識を身に付ける。
そんなことがレイヴンの日課になりつつあった。

リタ曰くあれは絶対親バカになる、らしい。


ユーリが妊娠して数ヶ月。
賑やかな凛々の明星に見守られながらも、お腹の子供は順調に育っている。
もう直ぐ出産予定日だからとレイヴンは益々ユーリの体調に気を使い、凛々の明星メンバーは子供用品をこれでもかと言うほど買いあさっていた。
帝都で皇帝の手助けをしているエステルや騎士団長に就任したフレンからも毎日のように手紙が送られてくる。

「…ったく、お前らまたこんなに買い込んで」

「あら、だって赤ちゃんに似合うと思ったんですもの」

「…あのな―…」

凛々の明星の資金を無駄なことに使いすぎだとユーリが呆れたように呟いた。
先日リタが子供用の洋服などを買って来たと思えば、次はジュディスだ。
カロルも子供が遊べるような玩具を日々発明し続けているのに、よくそんなことをする金が湧いてくるものだ。

聞けば今まで溜め込んでいた皆の貯金を使っているのだという。
首領であるカロルなんかは少し前まで貯めたお金を使って凛々の明星の基地を設立したい、なんて言っていたのに本当にこんな使い方して大丈夫なのだろうか。

「大丈夫。私、これでも真面目に働いてお金稼いでるから」

思考を読んだかのように笑う彼女を見てユーリは深い溜息を吐くのであった。




更に数週間が経過して、とうとう陣痛がユーリを襲った。
レイヴンはユーリの出産予定日を考え、ここ数日彼女から離れなかったがその判断は正解だったのかもしれない。
普段なら書類の処理、もしくはギルドの依頼で出掛けている時間である。
もし自分がこの場に居なかったら(勿論仲間達も仕事をこなしている時間なので)大惨事になっていた可能性もある。

痛みに苦しむユーリを助けることも出来ず、ただ手を握って無事を祈った。
それから直ぐに医者が駆けつけて来てユーリは別室に移される。
赤子を取り出すのに掛かった時間は思ったよりは短いもので、しかしレイヴンにはこれまでに無いほど長い時間に思えたのだった。


本当、ユーリのあそこまで苦しむ顔見たことなかったもん。
兎に角大変だったんだから!

後にユーリの夫、レイヴンはそう語ったのだった。


あれから随分の月日(と言っても数年程度だが)が経過するがユーリは勿論、生まれた子供(因みに男だった)も順調に成長している。



「おかあさ―ん!」

「ん?どうしたエリア」

パタパタと自分のもとへ駆けてくるのは、最近5歳の誕生日を迎えた息子のエリアである。
レイヴンと全く同じ瞳の色に、少しだけクセのついた髪の毛、しかし顔のつくりはユーリと一緒で睫毛が長い。

顔のつくりが自分と似ているということくらいユーリにだって把握できたが、まさか自分と面影が重なる息子がこんなにも可愛く見えるなんて思いもしなかった。
所謂母性本能というものなのか、毎日頭をグシャグシャに撫で回してやりたい衝動に駆られる。
恐らく父親のレイヴンも同じ思いだろう。

「あのね、カロル兄ちゃんが剣の稽古に付き合ってくれたんだ」

「お―そうかそうか。良かったな」

ギルドの街に住んでいる影響もあってか、最近剣術に興味を持ち始めたエリア。
凛々の明星への依頼に日々勤しむユーリ達の影響も勿論あるだろうが、兎に角剣術が大好きな少年に成長しつつあった。
否、こればかりは親の遺伝かもしれないが。

そんな息子の面倒をよく見てくれているのは凛々の明星の首領であるカロルだった。
世界中を旅して回ったあの時から少なくとも七年。
あの活発少年の面影はなく、それはもう立派な青年へと成長を遂げていた。
しかし面影と言っても、性格やネーミングセンスの悪さは相変わらずである。
両手でやっとブン回していた大剣やハンマーを片手で軽々と扱うようになったのはあの同時からすれば考えられない。

「おれカロル兄ちゃんに勝ったんだ―!」

「おおすげえな。お前はもしかしたら父ちゃんより強くなるかもな」

「うん!絶対お父さんより強くなる!」

「よしよし頑張れよ―」

毎日がこんな感じだった。
ユーリとレイヴンの二人が仕事でいない時はカロルに面倒を見てもらったりだとか、はたまたジュディスに面倒を頼んだりもした。
因みに出産前にジュディスが大量に買ってきた女の子用ベビー用品は使うこともなくクローゼットにしまってある。
まさかそれを使うようになるなんて今は知る由もない。





end

十万打フリリク、カズ様より子持ちユーリ♀でした^^
子持ちということだったのですが、妊娠中と出産後とどちらを書けばいいか迷ったり。
なので省略しまくってどちらも(笑

この後また息子が生まれ、次は娘が生まれって感じで勝手に妄想してます^^
長男がエリア、次男がエス、娘が未定←
因みに息子二人の名前は
Vesperiaの『es』=エス 『eria』=エリアから取ってます―。
いや英語とか得意じゃないですからスペルとか知ったこっちゃないですけど^^
要望があれば続きやら途中経過を書いて行きたいところです^^
いやいや暇なら書くと思う!

[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!