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雪に咲く花
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その間、雪斗は亘のことを考えずにすんだのである。
亘と別れている今は、心にすきま風が吹いている状態だ。
黒崎のいう通り、何か目的を持つべきなのかも知れない。
「黒崎さん、俺、大学行きたいです。そして黒崎さんのいる広報部に入りたいんです」
雪斗が決意を伝えた。
「そうか?やる気が出たなら猛勉強だ。これからしごくからな」
黒崎の言葉に圧倒され気が遠くなる。
「しごくって?黒崎さんと一緒に勉強するということですか?」
「ああ、君一人でやっても意志が続くかどうか分からないからね」
「それはないですよ。俺だってやるときはやるんですから」
膨れる雪斗に、黒崎が優しく笑った。
「でも、勉強は誰かとやった方が頭に入ることもあるだろ。協力するよ」
「でも黒崎さんは、どうしてここまでしてくれるんですか?」
疑問に思い尋ねてみる。
「なんでかな?何故か、今の君は、目を離すとどこか間違った方向にいっちゃうような気がしてね。なんとなくほっとけないんだ。それに、弟に何もしてやれなかったことを君にはしてあげたいということもある」
やはり、黒崎は自分と弟を重ねあわせているのだ。
しかし、今はそんな黒崎に救われている。



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あきゅろす。
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