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雪に咲く花
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「仕事と勉強を両立することは簡単なことではない。だが、やりたい仕事をするには知識が必要なんだ。僕も高卒で入社したが、会社の援助で大学に行くことが出来たんだ。その結果、広報部で働けたと言うわけさ」
「黒崎さんもですか?」
「そうだ。僕も始めは総務部だったんだ。しかし、どうしても広報部に入りたくて、この制度を利用して大学に通った。経済的にも負担はかからなかったしね」
「黒崎さんが……そうだったんだ」
広報部できびきびと仕事をする黒崎には、今にいたるまでの段階があったのだ。
「それに、目標を持てば辛いことも忘れられるかも知れない。やるのは君次第だが、こういった道もあるということを知っておいてもらいたくてね」
黒崎が辛いことが忘れられると口にした途端、ふと亘のことを思い出した。
亘に痛い言葉を投げ掛けられてから、ずっと会ってはいない。
思い続けることも忘れることも出来ず、雪斗の心はさ迷ったままだ。
それでも、抜け殻の様にならずにすんだのは、黒崎が目をかけてくれたお陰である。
アイデア募集の資料作成のために、彼は厳しいところもあったが、親身に指導をしてくれていたのだ。



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あきゅろす。
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