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雪に咲く花
ページ:8
「うちの会社での高卒者はごく一部なんだ。総務部なら専門的な知識は求められないが、他部署の場合だと、かなりの専門知識が必要になる。広報部もそうだ」
「でも、家に大学に行くだけの金なんかないし、就職したのも家計を助けるためだったから……」
「それがあるんだ。家計に負担をかけず大学に行ける方法がね」
「えっ!?……本当ですか?」
金がかからず大学に行ける方法があるとは……。
「人事部での審査で認められれば、夜の大学に通うのに会社から手当てが出るんだ。但し、会社の近くの夜間部に限られるけどね」
「知らなかった。そんな制度があるなんて」
特別勉強が好きではない雪斗にとって大学進学することは、さほど興味がなかった。
だが、就職して初めて大卒者との扱いの差に思い知らされることもあったのだ。
「もし、やる気があるのなら、今からでも勉強すれば遅くはない。援助を受けるためには試験を受けなければならないからね」
「試験ですか?」
試験勉強をしなければいけないとなると憂鬱になる。
「そうだ。会社側だって将来性のないものに援助するほど親切ではないからね」
確かに、その通りだ。


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あきゅろす。
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