http://mbbook.jp/19730125/
[携帯モード] [URL送信]

雪に咲く花
ページ:7
「採用された物が、開発されて商品になっていくケースもあるんだ。時間はかかるけどね」
「これも資料作りに黒崎さんが協力してくれたお陰です。有り難うございました」
お互いの過去を打ち明けたあの日から、黒崎は雪斗を気にかけるようになり、開発アイデアの資料作成についての指導までしてくれたのだ。
アイデアを考えることは容易いことだが、資料にまとめるとなると戸惑う事ばかりだった。
「人に頼らず自分で何とかするように」
と、突き放す態度だった黒崎も、親身になって相談に応じてくれたのである。
弟と同じ苦しみを持ち、手痛い失恋をした雪斗の心が壊れてしまわないかという心配もあったのだろう。
「ところで、君は他の部署の異動を望む気持ちはあるかい?」
改めて、黒崎が尋ねる。
「それは、出来れば黒崎さんのいる広報部で働きたいなと思って……」
「だったら、大学へ行って学んで見る気はないかい?」
「えっ!?……大学って?……」
黒崎が何故、そんなことを言い出すのか理解出来ない。
経済的に、大学に行くことなど厳しい家計なのだ。


[*前へ][次へ#]

7/21ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!