http://mbbook.jp/19730125/
[携帯モード] [URL送信]

雪に咲く花
ページ:5
学校の授業が終わり、亘は自宅へと向かっていた。
季節は秋も終わりを迎えようとし、肌寒さも徐々に増してきている。
人通りの少なくなった場所に出たときだった。
突然、人影が飛び出し、亘にぶつかったのだ。
「お願いです!助けて下さい!」
OLらしい女性が、目の前で助けを求めている。
「えっ!?いったい何があったんです?」
「待ってよ!」
後ろから足音が聞こえ、女性を呼び止めようとしているらしい声がする。
おそらく、怪しい男に絡まれたのだろう。
亘は咄嗟に、細い路地の中へ女性を隠した。
足音の主は、真っ直ぐ道路を走りぬけて行った。
「えっ……!?何だ?……」
女性を匿った瞬間、突然、既視感のようなものを覚えた。
脳裏に姿形がはっきりとしない人物が浮かび上がる。
「何だろう?前にもこんなことあったような……」
「あの……」
考えこんでいると、女性から声をかけられる。
「ありがとうございます。お陰で助かりました」
女性が頭を下げて礼を言うと去っていった。
「いったい、今の感覚は何だったんだろう?」
なくした記憶の一部なのかも知れない。
頭を捻っても答えは出ず、すっきりしないまま、帰り道を歩き始めた。



[*前へ][次へ#]

5/21ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!