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雪に咲く花
ページ:9
黒崎の言葉に、雪斗は考え込む。
今の自分は亘を支える力を持っているのだろうか?
社会人になって亘と対等になれたつもりでいたが、自分には知らないことも多く、まだまだ未熟なのだ。
「距離をおいている間に、お互いの心が離れてしまえば、二人は運命の相手ではなかったということ、しかし、また二人が寄り添うことが出来れば二人の繋がりは固いということになる」
いつか、美紅が言っていた同じような台詞を、黒崎が言葉にする。
黒崎に辛い出来事を打ち明け、彼の複雑な事情を知ったことで、信頼感が生まれていた。
そのことで、心がいくらか楽になっていったのは確かだ。
だが、雪斗の心は完全に晴れた訳ではない。
自分を拒絶する亘に向き合う自信が、今の雪斗にはないのだ。
しかし、黒崎のいう通り、亘がいつか思い出を取り戻すのを信じたいという気持ちはある。
亘を忘れることにするか、信じて待つか、どっちつかずの状態のまま、雪斗は黒崎に支えられ、仕事に打ち込んでいったのである。



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