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雪に咲く花
ページ:8
「今の彼が、以前とは別人だと思って諦めるか、彼が君への気持ちを取り戻すまで信じて待つしかないんだよ。僕に言えるのはここまでだ。後は君自身が決めるしかない」
黒崎の言うことには、説得力がある。
やはり、亡き弟の事情を抱えていたからなのだろう。
彼の弟は、記憶をなくした亘と、過去の恐怖のトラウマに苦しむ雪斗の傷あとの、両方の共通点を抱えていたのだ。
「もし、信じて待つことを選ぶとしたら、今はどうやって亘に接していけばいいんでしょう?」
一番の問題はそこだ。
亘が、自分を拒絶してる以上、歩みよる勇気などない。
「それは、君自身で考えるしかないさ」
「じゃあ、せめて、教えて欲しいんです。黒崎さんだったらどうしますか?」
すぐには答えを出すことが出来ずに、つい黒崎に頼ってしまう。
「僕だったら、信じて待つ方向でいくかな?でも、それは別に何か行動するわけでもなく、運命を自然に任せるといった感じだね」
「運命を自然に?」
「あぁ、今はジタバタしても始まらない。自分が相手を支えるほどに成長できるまで、一時期距離をおくようにすると思うよ」


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あきゅろす。
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