http://mbbook.jp/19730125/
[携帯モード] [URL送信]

雪に咲く花
ページ:4
「お前まで、俺のことが気に入らないのか!?どいつもこいつも馬鹿にしやがって!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!お願い!ぶたないで!」
この時、父親は鬱憤を晴らすかのように、許しを求める弟を殴りつけたあげくに突き飛ばした。
運悪く弟は、倒れたはずみで戸棚に頭をぶつけて気を失ってしまったのだ。
学校から帰ってきた黒崎によって、倒れている弟が発見され、直ちに救急車で搬送された。
幸い、発見が早かったことにより、彼は軽い怪我ですんだ。
しかし、弟は暴行のショックにより、全ての記憶を失ってしまったのである。
その後、まもなく両親は離婚をして、黒崎達は母親のもとで暮らすことになった。

黒崎の過去を聞き、雪斗は驚くことばかりだ。
「黒崎さんに、そんな複雑な過去があったなんて……」
両親を早くに亡くし、兄姉達に大切にされてきた自分には考えられない話である。
「自分の記憶を亡くしてしまった弟の中に父親の存在は全て消えてしまったんだ。いや、父親だけじゃない。9歳の頃までの記憶を全てだ。それはそれで、かえって幸せなことだったのかも知れない。母親と三人で一からやり直せばすめばいい話なんだからね。しかし、問題があったんだ」

[*前へ][次へ#]

4/9ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!