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雪に咲く花
ページ:3
「弟は事故で亡くなったんだ。まだ15歳だったのに……」
「えっ!?……」
思いがけない話に雪斗は息を飲む。
こんな素敵な絵を描いた黒崎の弟は、もうこの世にいないのだ。
「弟は、怒鳴り声を聞いたり、暴力的なことを目の当たりにすると、怯えて過呼吸を起こしていたんだ。さっきの君のようにね」
「弟さんが?……でも、またどうして?……」
「みんな、父が悪いんだ」
黒崎は、今まで人に話したことのない家族の過去を語り出した。

黒崎が中学生の頃までは、両親と5つ下の弟と、ごく普通の平和な家庭で過ごしていた。
しかし、父親が突然会社をリストラされたことにより、家庭は荒んでいったのだ。
父親は再就職も上手くいかず酒浸りになり、母親に暴力をふるうようになっていった。
時には、黒崎にも手をあげることがあった。
そんな光景を見せつけられていた幼い弟は、いつも怯えていたのである。
ある日、父親と弟が家に二人だけになった時があった。
弟は、水を飲もうとコップを取ろうとして、うっかり父親の湯呑みを落として割ってしまったのだ。
弟にだけは手をあげたことのない父親だったが、その時は鬼のような顔をして弟に襲いかかってきた。


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