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雪に咲く花
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「それで、あんなに苦しそうに震えていたわけか」
「あの時の事を思い出すと体が震え出して息が苦しくなっちゃうんです。でも、亘はそんな俺を優しく包みこんでくれていたのに、もう亘はどこにもいないんです。このまま死んでしまいたい」
すすり泣く雪斗を見て、黒崎が何かを考えこんでいる様子だ。
暫くして、彼はふと立ち上がり、スケッチブックのような物を持ってくると、テーブルの上に置いて開いた。
「ちょっと、これをみてくれないか?」
スケッチブックのなかには、たくさんのイラストのデッサンが描かれている。
海をバックに砂浜で犬が走り回っているもの、踏切の前を走っている電車、さまざまな動物を乗せて走っている機関車など、漫画のようであるが生き生きとした優しさが伝わってくるようなイラストだ。
「凄い。!これって黒崎さんが描いたんですか?」
「弟が描いたものだ」
「弟さんが!?」
以前、雪斗が黒崎の弟と被ると言われたのを思い出した。
「弟には、もう会うことは出来ないけどね」
「えっ!?どうしてですか?」
寂しそうな瞳をする黒崎に尋ねる。


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あきゅろす。
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