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雪に咲く花
ページ:9
「大丈夫かい?」
黒崎が雪斗の方を向いた。
「やっ……助けて……亘……苦しいよ」
亘の対応によるショックと男達に絡まれた恐怖により、久しぶりに過呼吸が生じたのだ。
「どうした!?大丈夫か?」
事態を察した黒崎が、苦しむ雪斗の背中を擦りだした。
「ゆっくり息をはいて、すぐに苦しいのはおさまるからな」
暫く、背中を擦ってもらうと、徐々に呼吸のテンポは落ち着いていく。
黒崎が過呼吸がおさまったことを確認すると、近くのベンチに雪斗を座らせた。
「もう、苦しくないかい?」
黒崎の質問に力なく頷いた。
雪斗は抜けがらのようになり、周りが目に入っていないのだ。
泣きはらした雪斗の目を見て、黒崎は優しく声をかけた。
「何か、辛いことでもあったようだね。良かったら僕の家に来ないか?すぐ近くだから」
「黒崎さんの家に?……」
いつもなら、そんな黒崎に対して何かを感じるのだが、今は頭にもやがかかり、上の空の状態だ。
「とりあえず、行こうか」
「あっ……はい……」
小さく返事をすると、黒崎に肩を支えられながら、彼の家へと向かった。


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