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雪に咲く花
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亘の家を飛び出した後、雪斗は、ふらふらと力なく歩き出した。
「亘、どうして?……酷いよ」
つい少し前まで、もう一度亘に歩み寄ろうと決意していたのに……。
彼が投げ掛けた言葉が、頭の中でこだまする。
『他の男に抱かれた君とは仲良く出来ない』
亘の口からそんな言葉は聞きたくなかった。
性的暴行を受けたあの日、ボロボロに傷ついた自分を抱きしめて癒してくれた。
しかし、今の亘は、そんな忌まわしい過去を持つ自分に嫌悪感を抱いている。
「亘の嘘つき!どんなときでも一緒にいるって言ったのに……」
自分を優しく抱きしめてくれた亘はもういない。
記憶とともに、固く結んだ絆まで消えてしまったのだ。
絶望に包まれ涙を濡らしながら歩いていると、肩に手をのせられた。
「君、どうしたの?悲しいことでもあった?俺達と遊ぼうぜ。慰めてやるよ」
二人組の柄の悪い男性に囲まれたのだ。
また、絡まれたのか。
無視して逃げ出そうとすると、腕を掴まれる。
「離して下さい。俺、男ですからナンパなら女の子にして下さい」
強気で返し、腕を振り払おうとするが、さらに力を入れてくる。


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