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雪に咲く花
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雪斗が、思いきって亘に尋ねた。
「今度、遊びに行ってもいいかな?」
「ああ、君といると楽しそうだし、週末ならいつでも来るといいよ」
「本当!じゃあ今度の日曜日に行ってもいい?」
「ああ、待ってるよ。雪斗君」
いつも呼び捨てで名前を呼んでいた亘が、今は他人行儀に君づけで呼んでいるが、これからでも、亘との距離を縮めることは出来るのだ。
焦らず一から、もう一度始めようと決心する。
いつか、演劇の中の人魚姫のように、泡になって消えることなく思いが通じ合えればいいと願う。

「颯人君しっかりね」
「颯人兄ちゃん、また遊びに来いよ」
施設の職員や子供達に見守られながら、颯人は旅立っていく。
その中には涙を流すものもいる。
「颯人、頑張って来いよ」
「颯人が警察官になって、制服着るの楽しみにしてるからな」
雪斗と亘も、声援を送った。
「ありがとな。俺、立派な警官になって世界中の悪いやつ取っ捕まえてやるからな」
颯人が、こっそり、涙を流していたことに気がついたものがいたかどうかは分からない。


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あきゅろす。
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