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雪に咲く花
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演劇が終わり着替えたあと、颯人を主役に会食を楽しんでいた。
「それにしても、最後は都合のいいように書き換えたもんだな」
亘が演劇の台本について突っ込みを入れる。
本来なら、人魚姫の原作は、最後は恋が叶わず、主人公が海の泡となって消えてしまう設定なのだ。
「いいじゃないかよ。筋書き通りの話じゃ悲しすぎるだろ」
「まあね。颯人って、顔に似合わずロマンチックだったんだね」
「こいつっ!顔に似合わずとは何だよ!?」
颯人が雪斗の頭にげんこつをする。
「痛いな!暴力反対!」
茶化しながらも、雪斗は、颯人が人魚姫の本来の物語を、無理矢理ハッピーエンドにすることで、落ち込んでいた自分を慰めてくれようとしていたことに気付いていた。
再び、亘との距離を近付けようとするために、人魚姫の劇を提案してくれたことも……。
記憶のあるない関係なく、亘とは、自然に笑いあえる、ひとときを過ごせたのだ。
そんなきっかけを作ってくれた颯人に対して、感謝の気持ちでいっぱいになる。


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