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雪に咲く花 ページ:3 雪斗、亘、颯人の三人と、人魚姫の姉妹は施設の少女達が演じることになり、物語が幕を開けた。 しかし、子供たちからは、爆笑の声があがる。 「颯人兄ちゃんオカマになってる。気持ち悪い」 「何あれ!?変な格好」 子供たちに笑い者にされ、三人は顔を見合せた。 「こんなで人魚姫の雰囲気出るのかな?」 「どう見ても、コントにしか見えないよな」 雪斗と亘が戸惑っていたが、颯人が開き直って言った。 「今更、ごちゃごちゃ言っても始まらないだろ。とにかく始めようぜ。これは、雪斗や亘兄のためでもあるんだからな」 「えっ!俺たちのためって?……」 「その話は後だ。とにかく始めるぞ」 子供達の、笑いに包まれ、予定通りに園長のナレーションで物語が始まる。 昔、綺麗な海の底にはとても美しい人魚の姉妹達が住んでいました。 ある日、激しい嵐の夜に、人魚の末娘は海に溺れている王子様を見つけました。 「大変!早くたすけなくちゃ」 人魚姫は必死に、王子様を砂浜まで泳いで運びました。 人魚姫のお陰で王子様は助かったのです。 しかも、人魚姫は、そのハンサムな王子様に恋をしてしまったのでした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |