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雪に咲く花
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亘が、雪斗との記憶をなくしてから、1ヶ月以上もたとうとしていた。
9月の終わりに入り、颯人は、あと数日で警察学校の入校式を迎えるのだ。
月末の日曜日には、颯人の送別会を施設でやる予定になっている。
颯人は、今度こそ、施設から去らなければいけない。
雪斗や亘も送別会に呼ばれている。
しかも、颯人の提案で、いつかのクリスマスパーティーのように、演劇をして欲しいということなのだ。
「何これ?変な衣装だな」
「まあ、人魚姫なんだから我慢してくれよ」
「やだなあ。こんな役ばかり」
雪斗はグレーのウロコ柄の入った脚全体が隠れるロングスカートとクリーム色の無地のTシャツ、亘は王子様の格好だ。
「ずるいな。相変わらず、亘は美味しいとこどりなんだからな」
着替えている時に、亘と二人きりになり、記憶がないことも忘れ、思わず話しかけていた。
「えっ!前にも何かやったのかい?」
「あっ!そうか……覚えてないんだった。あの時、亘はサンタクロースの役をやったんだよ。俺はあの時もお姫様で颯人は悪魔の役だったんだ」
「そんなことあったのか?じゃあ、こんなことするのは初めてじゃないということになるな」
亘が不思議に思いながら、雪斗の方を向いた途端に笑い出した。



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