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雪に咲く花
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「もう、独りはやだよ。亘、戻ってきてくれよ」
涙を流しながら呟いたとき、目の前に人影がたった。
「こんなところでどうしたんだい?」
顔をあげると、黒崎が立っていたのだ。
「あっ!……黒崎さん、どうしてここに?」
「今、仕事の帰りだよ。それより、こんなところで、一人で歩かないほうがいいと思うけど」
周りを見ると、なんとラブホテルや風俗店などが並んでいる。
「えっ、いつの間にこんなところに!?……」
ふらふらと歩いているうちに、怪しい店が並ぶ路地に入りこんでしまったようだ。
「こんな場所にいるところを見られると、変な噂がたつかも知れないからね。とにかく、立ち去ったほうがいい」
黒崎が雪斗の手を引いて歩き出す。
その光景をカメラで撮影した人物がいたのを、二人は気づかなかった。

「いいもの見ちゃった」
悠希が雪斗と黒崎の姿をスマートフォンのカメラにおさめた。
たまたま、この近くに、大学の仲間と食事にいくところだった。
食堂街の外れの路地にあるホテル街で、偶然雪斗を見つけ、仲間から離れて後をつけたのだ。
しかも、雪斗は男性と一緒にいた。
「これは、いつか役にたつかも」
雪斗と黒崎の写真を見て、悠希は嘲笑した。


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