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雪に咲く花
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「やだっ!絶対にやだよぉ!」
経済的に雪斗を養う余裕がなかったとはいえ、雪斗にとっては家族と離れて独りぼっちになってしまう。
どんなに泣きわめいて懇願しても、兄姉とともに暮らすことは許されなかった。
泣く泣く引き取られた叔父の家で、生まれて初めての地獄を味わったのだ。
いやいや、雪斗を引き取った家族からは、常に虐げられる毎日だった。
鬼のような叔母には、些細なことで叱られ、虐待とも呼べる仕打ちを受ける。
また、従兄弟たちからも、いじめられ、人懐こかった雪斗はだんだんと殻にこもるようになった。
今までは、末っ子で家族に可愛がられていたのに、ここでは、常に顔色を見て過ごさなければならない。
「もうやだよ。帰りたいよ」
初めての孤独を感じ、両親や兄姉を思いながら、泣き続けていた。
結果的に、叔母からの、虐待に堪えかねて逃げ出し、叔父の援助によって、兄姉達のもとに戻れたのだが、今でも、その時のことを思い出すと胸が苦しくなる。
亘も、ついこの間まで、楽しいひとときを過ごしていたのに、事故により、雪斗との思い出を失ってしまったのだ。


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