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雪に咲く花
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一人で取り残されたような気分になり、心がだんだんと沈んでいく。
「あの時と同じだ」
ふと、両親が亡くなったときのことを思い出す。

7歳の頃まで、両親や兄姉に可愛がられ、末っ子特有の甘えん坊に育ってきた。
何も苦労など知らない、幸せな毎日を過ごしていたのだ。
こんな日がずっと続くんだと思っていたのに……。
突然、両親は事故により、帰らぬ人となってしまった。
兄姉もだが、幼い雪斗には、信じられない衝撃的な出来事だった。
「お父さんとお母さん、また帰ってくるよね?」
「雪斗、お父さんとお母さんはね、もう帰ってこないのよ。悲しいことだけど……」
姉が涙を流しながら、頭を撫でてくれたのを覚えている。
いつも、当たり前のように一緒にいた両親に、もう会えないなんて考えられなかった。
さらに、姉は辛い申し出を雪斗にしたのだ。
「雪斗、残念だけど、あなたは叔父さんのところで暮らして欲しいの。ここにいても、雪斗には、ご飯もおやつも食べさせてあげられないのよ。だから、雪斗は、叔父さんの子になったほうがいいの」
両親が亡くなった後に、兄姉とも離れて暮らさなくてはならないことなど、すぐに承諾出来るはずもなかった。


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あきゅろす。
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