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雪に咲く花
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雪斗は、記憶をなくした亘に突き放されてから、心ここにあらずといった状態になった。
気にかけてくれていた颯人も、今の亘の様子にはお手上げの状態だ。
そんな、抜け柄になった雪斗に、美紅も心配して声をかけた。
彼女も亘の事情を知っている。
「冷たいようだけど、亘さんの記憶がなくなったことで、もし、雪斗の気持ちも離れてしまったら二人の気持ちはそれだけのものだったということ。でも、もし、二人の絆が本物だったら必ず元通りになるはずだと思うわ。今は、自分の気持ちを信じるしかないの。答えは自分にしか出せないんだから」
美紅とて、何とかしてあげたいのはやまやまだが、亘が雪斗のことを思い出せない以上は、自分にも解決出来るはずがない。
最終的に、雪斗自身が気持ちをしっかり持ち、どうするのか答えを出すしかないのだ。
亘の記憶が戻ってくれるのが一番だが、それこそ、どうすることも出来ない。
今は、姉として弟を見守ってあげること、亘の記憶が早く戻ることを祈ることが美紅には精一杯なのである。
「そんなこと言ったって、亘の気持ちが離れた以上、どうしようもないよ」
今の雪斗には、どんな慰めの言葉も心には響かない。


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あきゅろす。
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