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雪に咲く花
雪斗の生まれた日
海斗も美紅も楽しそうにしていたが、美桜は気分が晴れない。
本来なら、両親と一緒に過ごすはずだったクリスマスイヴなのに、母が出産するために、ここにはいないのだ。
また、美桜の心に罪悪感が生じていた。
自分が弟なんかいらない、生まれてこなきゃいいと、思ったことで母は苦しんでいるのだろうか?
赤ちゃんが、ちゃんと生まれなかったらどうしようと不安になった。
お母さんも赤ちゃんも、無事でありますように……。

夜遅い時間に、父が迎えに訪れた。
父は、明日みんなで一緒に病院へ行こうと言い出した。
母は無事、男の子を出産したそうである。
美桜の不安は解消され、ほっと胸を撫でおろす。
海斗は、待ち望んでいた弟に会えるからと嬉しそうだ。
隣家を出て外に出ると、周囲は雪で白く埋め尽くされていた。
「こんな雪の日に弟は産まれたのよね」
美桜が呟くと、父が空を見上げた。
「そうだな。お前たちには寂しい思いをさせたが、クリスマスイヴに最高の贈り物をもらったよ」
「赤ちゃんのことだよね?そういえば名前決めてなかったよね。わたし今、考えちゃった」
美桜が、しんしんと降り続ける雪を見て、ふと思いついたのだ。


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