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雪に咲く花
雪斗の生まれた日
美桜にとって、一番上の長女というものは、何かと我慢を強いられることが多く、しっかりしていなければいけないというプレッシャーもある。
妹ならば、一緒に女の子らしい遊びも出来るし、楽しく過ごせるだろうに……。
いたずらっ子な海斗に、散々泣かされることが多かった美桜にとって、二人目の弟が生まれることなど憂鬱でしかない。
「あらっ!今、お腹を蹴ったわ。美桜も触ってみる?」
「別にいい」
「じゃあ、俺が触るよ」
「優しくね。海斗の初めての弟なんだから」
両親や海斗の微笑ましい会話に加わる気にもなれなかった。

クリスマスイブの学校帰り、ちらちらと雪が降り始めていた。
「あっ、雪が降ってきた。だから寒かったのね」
まだ子供の美桜の瞳には、白く染まっていく世界は神秘的だ。
「素敵、これがホワイトクリスマスというのね」
今日は、家でケーキを用意してくれるはずだ。
おねだりした可愛いバッグをプレゼントにくれるかも知れない。
心を躍らせながら我が家へと向かった。



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あきゅろす。
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